深めるという方向性での変化もある。

 10年以上同じ仕事をされている方で、そろそろ新しい仕事をして行きたいなという感覚になっているようでした。いろいろとできるようになって行くと、今までの調子で同じような仕事を続けているだけでは、人は成長を感じることができずに、何か変化が欲しくなるのかもしれないですね。

 しかし、「新しい仕事」と考えてみても、イメージが湧いていない。いったん、今やっている仕事で、もういいかなと思うものは辞めて行く形で、整理をされた段階まできたようです。無理していることを手放したことで、これで何かが入る余白はできたようですね。

 「具体的に何をしたらいいのか?」クライアントさんもアイデアが何もない状態だったので、気になるところからなんとなくお話が始まりました。

 セッションの時は、無意識の領域に働きかけるので、最初の段階は全く分からない時が多いのです。でも、質問することと相手がリラックスしていれば、無意識の領域が段々と浮き彫りになっていきます。

 そのクライアントさんのなんとなく最近思ったことを聞いてみると、私のメールセミナーを読んで、「自分の魅力や価値を上げる」というところに、引っ掛かりを感じたようでした。
 そう言えば、先月のセッションで、「堀口さんのメールセミナーをたまたま見つけたので、とってみたんですよ」とおっしゃっていました。こういう行動も無意識の領域がやったことですね。何かヒントがありそうです。

 これまでの仕事の仕方は、手当たりしだい頼まれたらどんどんやってきていて、逆に手当たり次第やっていることで、ぶれているのではないか? と人から言われたこともあったとか。
 でも逆に考えてみると、頼まれた仕事を引き受け続けてきたことは、そこに「思い」があるからでしょう。その方は、「伝える仕事(話す)」をされているので、「届けたい」という思いが軸にあるから、色々な仕事をやってきたのかもしれませんね。

 「思い」が見えてきたら、さらに話がどんどん広がっていきました。潜在意識の蓋がパコっと開いたように。

 これまでの仕事を継続したいので、もっと知識を増やして「届ける」ことをよりよく出来るようになっていきたいという話になりました。

 ここで、新しい視点を投げかけてみました。「原因」と「結果」の法則から考えてみると、これから新しい仕事が欲しいのならば、原因を作っていくことが必要です。
 「新しい軸は、何にしますか?」と質問してみました。
「あぁ、そうですよね。そんなこと考えてみたことありませんでした」と言いながらも、少し考えて「ビジネスコミュニケーションスキルを上げたい」という、言葉が出てきました。1年くらいセッションをしているなかで、初めてのワードでした。

 確かに、仕事においてコミュニケーションスキルを上げて行くことで、可能性が広がりそうなイメージが膨らみます。

 「話して伝える」というジャンルのお仕事をしている方なので、話し方に関しては、これまでも色々な講座などで勉強してきたとおっしゃっていました。
 「人にインタビューをする」ことも、勉強をされてきたようでしたが、割と表面的なところしか学んでいないから、もしかしたらこれから「聞く力」を高めていくことで、より自分の仕事のクオリティーが上がるのではないかと。

 「聞く力」を伸ばすことで、相手から引き出すものが変わるのですから、確かに「伝える」というお仕事は、深みを増していきそうですね。
 これから引き受けるお仕事に関しても、感性が磨かれ、知識が深まった自分で臨むことによって、もっとよりよくできそうですね。

 セッションは、全然予想もしないところへ行きました。やることが明確になって、かなり喜ばれていました。でも、どうやらクライアントさんの無意識は気付いていたようにも思えます。


 同じことをしていても、自分を飽きさせないことが大事なのかもしれません。継続は力なりですから、飽きずに続けて行くことで、力になることは確実なのではないでしょうか。

 「イチローはなぜ同じ毎日を繰り返しているのに、未来をつくれるのか。確かな一歩の積み重ねでしか、遠くへは行けない。」2009年に、このキャッチコピーを見たことを思い出しました。

 「新しいこと」と考えていたのが、「深める」という方向への話になりました。
意外と盲点な「深めること」。新しいことをどんどんして変化していくことも一つですが、深めるという方向性での変化もあるということを知っておくと、迷った時の一つの指針になるかもしれませんね。


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

これから深めていきたいことは何ですか?