人がいると緊張してしまいがちな時のニュートラルな考え方の考察。

 仕事でお茶を入れるときに、上司が見ていると緊張してしまって、こぼしてしまったり、電話の応対でも、周りに人がいることで緊張してしまい、うまく出来なかったりすることがあるとのこと。上司からも「緊張しているの?」とよく聞かれるとか。

 「緊張をしても自分の力を発揮するためにはどうしたらいいのか?」がセッションのテーマとなりました。

 反対の立場、社長のコーチングの時に、「部下が、1人でやる時は普通にできているんですが、周りに人がいると、自分のことを卑下してしまうのか、緊張している様子で、電話での応対もスムーズに行かなくなっていることがある」という相談を受けたことがあります。

 1人の時に出来るなら、自分がやっていることに集中してもらえる環境を作ることで解決できそうですね。そこで、部下のデスクに「ゆっくり話しても伝わるから大丈夫」の意味を込めて、戦場カメラマンの渡部さんの写真を貼ってみたらどうかと話してみました。
 すると、部下も落ち着いて電話に出られるようになったとの変化がありました。自分のしている行動だけに集中力を向けることができたようです。仕事上のピンポイントならば、そのような解決方法で、うまくいくこともあるでしょう。

 セッションでは、もう少し根本の「思いこみ」の部分を探っていくことにしました。
今回のクライアントさんは、趣味のボイトレのライブでは、緊張することなく堂々と歌っている姿を、(私とボイトレの先生が同じなので)見たことがあります。だから、あれ? と思いました。歌の方が、よっぽど緊張しそうではないですか。

 ライブでは、自分に集中できているし、練習も重ねてきているので、「出し切ろう」という気持ちで歌っているそうです。「練習」が緊張感を解くのでしょうか。

 しかし、「お茶を入れる」ということは、子供の時からそれこそ練習どころか、日常的に繰り返し行っていることなので、緊張と練習の関係でもなさそうですね。
 どちらかと言うと、日常のルーティーンのところや、誰もがやるふつうのところでの緊張が多いように思えてきました。

 いつも何か言われるかもしれない、と気にしているのでしょうか?
思いこみが出来たかもしれない、過去の話も色々と思いだしていました。

 自分ひとりだけの時は、緊張することもなくできるけれど、人がいると「○○さんの方がうまいから」と、自分と比較してしまうところがあるというのが、いつも緊張するときの共通点のようです。

「比較しなくていい」と頭で分かっているけれど…。
どうしたらその考えは手放せるのでしょうか。


 「○○さんの方がうまいから」と考えることは、劣等感の気持ちがあるということ。自分のことをわざわざけなさなくてもいいのではないでしょうか。「もっとできなくてはいけない」と、自分に対する怒りもありそうですね。比較、自己否定、怒りもしない、もっとニュートラルに考えられる視点はどこでしょうか? 

 そこで、私が「人と比べることは、古い人間の考え方ですね。時代遅れですよ(笑)」と言ったら、「いやです、時代遅れ」と言いながら、爆笑していました。すぐに手放せそうになっていました。

 そして、恒例の手放す儀式、「比較してけなしている自分を許します」と紙に書いて燃やすことをしてもらうことになりました。

 
 「比較」というか、「人との違いを発見した」と思うことがニュートラルな考え方だと思います。
 具体的に言うと、もし、「○○さんのほうがうまい」と感じたとき、「どうしてうまいのか?」を観察して、取り入れるときに、同じようにまねをするのではなく、視点、視座、視野を分析して、自分なりの落とし込みができるように取り入れればいいのです。自分のセンスがきっと磨かれることでしょう。
 また、そう思ったということは、自分のなかにもその素質があると、無意識が反応しているからだと考えてみてはどうでしょうか。

 私にとっては、書くことがうまくなりたいと常に思っているので、いろいろな本を読んでは、「この人の方がうまいな」といつも思います。でも、「自分ができていない」とは思わないんですね。

 自己否定もせずに、ただ自分に取り入れて、「自分もその境地まで行ければいいな」と思い、目標という種を植え、試行錯誤のあと、やがて花になると信じています。


 「ただ観察して取り入れる」。
まさに、子供が言葉を覚える過程のようです。過大評価、過小評価など余計なことがない分、すくすくと成長できるのかもしれませんね。

 この前、3歳の姪っ子と遊んでいた時に、彼女が「ちょっと待って、何して遊ぶか考えるからね」と言った言葉にはびっくりしました。ついに「考える」ところまできたか! と。誰の言葉を観察して取り入れたのでしょう。疑問が残りました。(笑)


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

人との違いをどう生かしていますか?