「やる方法が分からなくて悩んでいる場合」と、「頭では分かっているけれど、心ができないと言っている悩み」とがある。

 セッションで扱う悩んでいる状態として大きく2種類に分けられると考えました。
私が取り扱えるセッションという見方にもなると思います。

①初めてやるので方法が分からなくて悩んでいる。
②ずっと繰り返している悩みで、突破口が分からなくて悩んでいる。
(頭では分かっているけれど、心ができないと言っている)

 ①の場合のセッションは、例えば、管理職の方が、コーチングスキルを身につけたいとか、初めて人前で話をするとか、独立をするためにどんな準備をして行けばいいのか? 面接で自己PRをどうすればいいのか? などがそうです。スキルを身につけるためにビジネス書を読むことと似ていると思います。ただ、コーチングのほうが、パーソナルなので、ピンポイントで扱うことによって、行動へ落とし込みやすいメリットがあるでしょう。

 ②の場合、ビジネス書や考え方を読んだとしても、完全な解決にならず、また同じ悩みに戻り、ぐるぐるしてしまうのではないかと言うことです。「頭では分かっているけれど、心ができないと言っている」というようなものでしょうか。

 以前コーチングセッションをしていたクライアントさんから、たまにメールを頂きます。その後の報告が書いてある場合と、「あれ? まだそこで悩んでいるのか」と思えるメールもあります。
 
 先日、「あれ? まだそこで悩んでいるのか」というメールが来ました。
私は、メールから感じ取られたことを返信し、2回メールのやり取りをしました。
クライアントさんから、数日たってまたメールを頂き、今回で本当に解決したような内容でした。ご自身で答えをしっかりと出していらっ者たのが印象的でした。あの頃のセッションの続きが完了出来たので、私もホッとしました。

 セッションをしていた当時は、思っていることを吐き出してもらった後に、対処法や考え方を教えて、その都度、気持ちが楽になっていっていたようなのですが、どうやら問題の本質までは到達していなかったのかもしれません。
今の方が、私も視点の投げ方が変化したのだと、自分自身の成長にも気づかせていただく機会にもなりました。


 先日の単発セッションで、同じ問題を繰り返しているパターンに、対話をしながら気づいた場面がありました。
 店舗で働いている方で、2番手の位置のようですが、連絡ノートに3番手の人が、店長宛てに「・・・までやりました。後はよろしくお願いします」と言うような書き方をいつもしていて、そのやり方が、店長への猛アピールに感じて、嫌な気持ちになり、2番手の自分がまるですっ飛ばされた気持ちになる、ということをお話ししていました。
そのほかにも、仕事の中で自分が嫌な気持ちになる場面を色々と話しておられました。

 実際に、3番手の人には、「自分がやったことだけ報告してくれればいいです」と、自分なりにやんわり伝えたようなのですが、全く改善されなかったとのことでした。つまり、相手に「もっとこうしてほしい」ということを伝えれば解決かというと、そうでもないのです。答えは自分の中にあるので、私は、「すっ飛ばされた気持ちになる自分について」、気持ちから考えて行くアプローチで対話を進めて行きました。

 どうやら、今の場所だけでなく、ずっと前から「自分だけが信頼されていないのではないか?」という気持ちを持つことが分かってきました。子供時代のことが、対話中にふっと頭によぎったようで、お話しされていました。今と過去は感情という線でつながっているのですね。

 クライアントの方は、元はと言えば、「マネジメント職に就きたいので、自分がそのために何をやっていけばいいのか、自分に足りないところを教えてほしい」というテーマでコーチングを申し込まれたのです。なので、マネージャーとして必要なことについて、いろいろ、私に言われるのかと思って来たようでしたが、メンタルな面を深めて行くことに、少し驚いていたようです。

 表面では、「マネジメント職をやりたい」となっていますが、実は無意識の部分とも繋がっており、マネジメント職をするためには、「相手の気持ち」を理解しようとする能力が必要なポジションです。だから、このタイミングで、「自分の気持ち」に焦点を当てることは、つながっている気がします。自分で自分の気持ちを見てあげられるようになると、相手の気持ちの想像力もついてくるのです。自分の中にあるものでしか、相手のことは見られません。

 気持ちを見た後、これから毎日をどういう視点で過ごして行けばいいか? と、コミュニケーションスキルとして不足している部分の知識の補充を行い、気づいたら3時間も対話をしていました。1回で、色々と気づきましたが、できれば継続してコーチングの機会を持たれた方が、もっといいかとは思います。長年の癖だと、前進していく中でまた不安が生まれてくることは自然です。そんな時は支持してくれる人がいると、安心して前進できるからです。

 自分のことを客観視することは、とても難しいと感じます。コーチングは、自分を客観視できる場です。客観視するかしないかは自由ですが、私は、客観視して、自分で自分のことを見られる方が、人の評価に左右されないので、自分の軸がはっきりし、生きるのが楽になると考えています。人に自分の幸せが左右される生き方は辛いと思います。

 それにしても、繰り返し起こる問題に関しては、自分がテーマとしてあまり重要視していない場合もありますし、仕方ないと諦めている場合もあります。
 また、問題の本質に辿りつく前に、解決しておきたい問題というものがあるようで、セッションをして1年とか1年半経ってから、「実は」というお話が出てくることも自然です。「実は」と話したくなったときに、セッションのテーマにすればいいのだと思います。

 無意識の深さというか、今、過去、もしかしたら前世の方から、つながっているのでしょうか。「心の声を聴く」より深く、「魂の声を聴く」対話へとこれから深みを増していけたらいいなと思っています。


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

繰り返し起こっていると感じるものはありますか?


□■□■□■□■□

■セミナーのお知らせ

★6月23日(土) 「聴くことは幸せにつながる」セミナー。
「相手の存在価値をそのまま生かす対話とは?」を軸に考える講義スタイルのセミナー。

★7月7日(土)夏コミコレクションテーマ「曖昧」
『曖昧』という漢字を見ると発見がありました。曖昧は、お日様のような、ただそこにある愛を表しているのかもしれません。そこからディスカッションが、始まりそうです。『曖昧』を体験した時に感じる気持ち、感覚を味わえるコミコレにしたいと思っています。