何度も同じ問題が巡ってくるとき、どうすれば乗り越えられるのか?

 先日『金子みすゞ物語』をTVで観ました。2時間ドラマで、上戸彩さんが、主演で演じていました。

「見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ」や、「こだまでしょうか」の詩を書いた、大正末期の童謡詩人です。心の目を見つめ直せるような詩が沢山あります。しかし、自分の子供を守るためなのか、26歳の若さで命を絶ってしまいました。
 
 金子みすゞは、1903年生まれで、『星の王子さま』のサン=テグジュペリは、1900年生まれなので、同じころの生まれなんですね。第二次世界大戦前に、今でも語り継がれるものが生まれたことに、感慨深いものを感じました。


 大正時代の話で、ややこしくなっていた家族関係がありました。実の弟が、テル(みすゞ)が姉とは知らされていなかったのもあり、テルに恋心を抱いていました。養子として迎えた父親は、絶対に真実を話してはならぬと言っていたのですが、真実をテルが、ついに、話さなくてはいけない場面がありました。

 弟が、ある時、「養子」であることに気付いてしまったからです。今まで育ててくれた父親は、本当の父ではない。母さんも誰かわからない、一体、真実は何なのか?と。
 
 弟は、自分が養子であったという事実を知らされていなかったことに、腹を立てました。嘘を貫き通されたことに、怒りをあらわにしました。弟にしてみたら、絶望的なシーンです。その時に、テル(みすゞ)が言った台詞が印象的でした。

 「事実を知ったところで何も変わらない。愛情を持って育ててくれたお父さんの立場になって考えてみて」と。(うる覚えですが、確かそんなセリフです)

 物語を通して、テルは、見えていない相手の気持ちを想像する力に長けていたのだと感じました。

 だからこそ、最期、自分で命を絶ってしまったのでしょうか・・・。
自分のためよりも人のためを優先させる。本当に心やさしい性格であるところが、逆に物語を見ていて、とても切なくなりました。しかし、それがあのような詩を生む背景だったのでしょう。


 上戸彩さんと言えば、映画『テルマエ・ロマエ』にも出演されていますね。私の中で、両作品の中に、上戸さんつながりを見つけました。「みすゞ」の台詞と、「真実」のセリフ共通点です。

 主人公シリウスが、お風呂のアイデアを考えている時に、ワープして、現代日本に来てしまうという設定。日本で仕入れたアイデアを、そのまま持ち帰って、ローマで再現して、成功して行く話です。

 しかし、ある時、シリウスは、アイデアをただ借りて、創りだしただけで、自分の力ではないと、自分を責めるシーンがあります。

 その時に、上戸さん演じる真美(まみ)が、「一生懸命に考えたからこそ、アイデアに巡り合えた、だから、あなたの力なんだよ」(こちらもそんな感じのセリフでしたが)と言いました。そこから、シリウスは復活しました。

 相手の見えていない、確信をつく事実を言うという役どころが、同じだと感じました。

 色々な映画や小説などでの、「転」の部分は、そんな風に、事実が発見されて、覆されているものだと感じます。


 相手に対してイライラしたり、自分に対してイライラしていると、事実を見落としがちです。自分の考えだけに取り憑かれている状態でしょうか。そんなときに、「事実」が発見できると、人はホッとできるようですね。


 コーチに成り立ての頃は、単にポジティブな解釈をすれば、前進できるのかなと思っていたので、ポジティブがうまく探せた時はよかったのですが、ポジティブに解釈しすぎて、クライアントさんは、ついて行けないようなことも失敗談としてありました。

 しかし、今は、ポジティブでもネガティブでもない、上戸彩さんの役どころの発言のような、ニュートラルな位置で、事実の発見ができるようになりました。セッションは、変な力がどこにも入っていない状態で、スムーズに進んでいます。

 人が「ホッ」とできる瞬間ってどこだろう? と独立4年目くらいから考えだしました。「ホッ」とできると、行動が進むことがわかったからです。
 そして、6年目にしてようやく発見です。ちょっとかかりすぎじゃないかと思いますが、とても難しかったのです。自分がセラピーやスピリチュアルカウンセリングのセッションを受けたり、実際の場での発見や、本を読んだり、映画を観たりしながら、気づいていったのです。

 6年前頃、ブログに、「もっとスムーズにセッションができるようになりたい」と書いたことがあったのですが、「事実」の発見ができるようになることが、スムーズへの近道だったんですね。6年前の自分は、全くそんなことに気づいていませんでした。 
 

 何度も同じ問題が巡ってくるなと感じるとき、「事実」を発見できる心の目が閉じているから、突破できていないのではないでしょうか。もっと感じて、もっと考えることは大事です。心の目を開くチャンスが訪れていると考えて、問題に向かい合う勇気を持つといいかと思います。

 そして、みすゞや真美のような、ニュートラルなものの見方ができると、これからもずっと、心の平和が、続いていくのだろうと考えています。


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

「ほっ」とする瞬間はどんな時ですか?