「今を感じていないと焦る」についての考察。

 「焦る気持ちは何だろう?」というテーマのセッションでした。

 焦る気持ちには、色々とある気がします。辞書で調べてみると、落ち着かない、待ちきれない、やきもきする、急ぐ、もどかしい、慌てる、悩む、苦しむ、堂々めぐり、心配する、はらはらする、イライラする、空回りする、浮つく・・・などが書いてありました。

 つまり、いまの場所で、未来のことを考えているときや、いま、その状況になっていないことへの不安みたいな気持ちのようです。
 また、自分が見たいものしか、見ようとしなければ、材料不足になり、自分だけが、まずい状況に陥っているかのように感じるとき、焦りとなることもあるでしょう。

 焦りの気持ちは、視野の狭さからくるのかもしれません。視野を広げていくためには、「今」を感じる感性を磨くことではないかと、私は考えています。

 「今を感じる」ことは、結構難しいのです。今でも、ふとあっちに行ってしまうときもあります。すぐに、わかるので、そんなときは、深呼吸をしたり、作業を止めたりして、今は対応します。
 セッションをしているときに、私がふと、あっちに行ってしまったら、傾聴はできなくなるので、セッションでは、かなり集中をしている状態です。

 以前は映画を観た感想を言うことは、私にとっては、とても難しいことでしたし、会話をしていても、相手の話を聴きたいようにしか聞いていなくて、感想や質問ができなかったです。
 また、店長をしている時に、ショップリサーチに社長と一緒に行って、「どう感じた?」と質問され、答えることがいつもできずにいました。

 自分が見たいようにしか見ていない、自分の中の知識や視野だけのなかに閉じこもっていているように見えたのでしょうか、社長からは、「感性を磨きなさい」と言われたことがあります。そこから、私の人生は180度変化したと思っています。

 自分が見たいようにしか見ていないことに気付いてからは、自分が苦手だからと言って取り組まないでいたことに積極的にかかわってみようと思いました。「感性」は、後天的に磨かれていくと思えたのです。

 例えば、視覚について。
服の接客をするときに、私は「お客様が着なくちゃ、似合うかどうかはわからないものだ」と思っていました。しかし、多くの販売員は、着る前に似合うかどうか、だいたい予想ができているようだと、一緒に働いていて思ったことがあります。

 「何故だろう」と思って、ある日気づいたのが、お客様が着ている姿を頭の中でイメージできるからだとわかりました。頭の中が着せ替え人形みたいになっていて、実際に着る前に、着た姿が見えているからなのだと。それから、私もイメージして浮かべることを意識してみました。すると、見えたのです。
 服を着る前に、私の頭の中でシミュレーションができるようになって行きました。顧客様がいらっしゃる前に、着た感じを想像できるので、似合いそうな服を、あらかじめ用意できるようにもなりました。こうやって、「視覚」を鍛えるのだとわかりました。頭の中を常に3Dで見るように意識を向けたのです。

 次に聴覚です。
DJができる部下がいたのですが、お店に合う音楽を選べるところがすごいと思っていました。例えばセールの時に、購買意欲が増してしまうような音や、スタッフのやる気を引き出す音があることも分かっていきました。音に意識を向けるうちに、「場に合うBGM」選びが、少しできるようになりました。

 そして、触感覚。
ある日、スタッフがディスプレーを並べているところを観察していたら、10センチとか、ほんとちょっとした微調整なのですが、マネキンの位置をどこにするか? 感覚で決めていました。「そういうのは、バランスがあるのか?」と質問してみると、「ちょうどいい位置がある」とのことでした。一緒になってやってみると、確かに、ちょっとした感じで、取りやすいとか、通りやすいとか、感じるではないですか。「触覚」は、こんな感じのことを言うのか! と理解しました。

 そうやって、私はアパレルの世界で、五感を開いていったのだと思っています。五感を意識して働かせてみることで、いろいろと感じる自分に気付きました。意識を向ければ、沢山の見える事に驚きました。

 なんとなく過ごしていたら、全然見えてこないのです。
五感に意識を向けることで、「今を生きる」ことになり、焦ることが減ると思います。
色々な意味で「今」はとても大事な時間なのです。


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

今、何を感じていますか?