対話は、理解してもらったと相手が感じることで進むもの。

 父親が母親のことをよく否定するので、母親がかわいそうになるそうです。庇いたいけれど、話の内容としては、人と比べることが多いので、「どうでもいいじゃん」と、こちらもなってしまい、自分まで母親を否定してしまい、ついつい、話を途中で切り上げてしまうとか。
 
 けれども、話し相手があまりいないようなので聞いてあげたいとクライアントさんは言っていました。また、母親を見ていると、自分のことのようにも見えてくるのだそうです。自分に矢印を向けて色々と考えることをテーマにしているので、クライアントさんも、ふと気になったようです。


 人と比較する話や、上司は頼りない、あの人が変わらないといけないのだとか、矢印が他人に当たっている話は、愚痴と呼ばれる類でしょうか。愚痴を聞ける人は、そう多くはないように感じますが、聴き方を知ることで、思いのほかできるようになると思います。

 私は、自分が愚痴を言ってもしょうがないと思うタイプでしたので、クライアントさんには、愚痴を言わせないオーラーをきっと発していたのだろうと、コーチを始めて3年目くらいまで、そんなスタンスだったと思います。

 ある日、クライアントさんの愚痴に対して、やんわりとやめるように諭したつもりが、どうやら、相手を否定してしまったことがありました。そこから、「愚痴」に関して考え始めたのです。

 愚痴は、止まるまで言わせてあげよう、そうすればすっきりするし、自分で気づくから・・・。初めは、こんな風に考えてみました。この考えは、結構いい線いっていました。
 
 しかし、この考えだと、ずっと矢印が相手に向いたままになってしまったことがあったのです。その後、いつか止めてあげることも大切なのだと、気づきました。相手に「止めることもできるけどどうしますか?」と聞いてみたのです。

 きっと、相手もいつか止めたいと思っていると考えるのも、寄り添うことなのかもしれないと今は思います。

 そんな経験を経て、今は、「相手はそう思っているのだ」というふうに捉えるだけになりました。なので、止めることもなく、同情することもなく、相手の話をそのまま寄り添って聴いている感じです。「愚痴=悪いもの」と考えなくなったことが、ただ聴けるようになれたのだと思います。

 ある日、友人が「最近、会社に面白い人がいなくて~」と言ったとき、「面白い人がいないんだね」と返しました。そうしたら、「あらやだ私、面白くないことを人のせいにしていた・・・」と明らかに自分で気づいたようでした。

 この話を、他の友達にした場合、「そうだよね、いないよねー」と同情されることが多かったのに、そのまま鏡のように返されたことで、気づくことがあったと驚いていました。

 「・・・と思っているのね」というのは、相手のありのままに対して、理解を示していると言えるでしょう。
 対話は、理解してもらったと相手が感じることで進むものだと、私は考えています。相手の言っていることをそのまま返すことが、相手の考えを深めるのではないかと思うのです。

 気持ちを理解した言葉を入れないで、いきなり解決策や、自分を変えないといけないとか、格言を言うと、相手は否定されたと感じ、ますます落ち込んでしまうものです。


 返し方として、①解決策を述べる。②励ます。③気持ちを理解する。の3パターンを知っていると区別がつきやすいです。「・・・と思っているんですね」は、③となります。まずは、ここからでしょう。

 この先、自分のアイデアを言うのならば、「・・・のほうがいいよ」と言うよりも、「・・・という考えもあるよね」と、断定しないことです。そうすれば、相手に考えさせる余白を提供することができるのです。この世に100%そうだ、ということは、存在しないくらいに思っていた方が自分も楽です。

 ここに気付くまで、私も聴く仕事始めてから、6年くらいかかってしまいました。聴く力は年数を重ねるごとに、ますます深められるものだと感じています。


 相手に対してどうするかについて、書きましたが、自分に投げかける言葉も同じようにしてみることです。「・・・と思っているのね」と自分の考えを否定しないで、聞いてあげることです。ありのままを嫌わないことが大事だと思います。


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

日頃、どんな言葉を返していますか?

□■□■□■□■□

■9/29 sat@銀座 「聴くことは幸せにつながるセミナー」




「傾聴」についての私の考え方をシェアいたします。
このセミナーを通して、聴くことで味わえる幸せや感動を
実感してくださることを心より願っています。

詳細はこちらです。

--------------------------------------------------------------------

■堀口ひとみ・播磨弘晃 秋コミコレクション テーマ「好き」
10/13 sat @渋谷にて開催。