『モリー先生との火曜日』で気づいた「導く」ことについて。

 1999年の映画『モリー先生との火曜日』を鑑賞しました。たまたま、TUTAYAの発掘作品コーナーに並べられていたので、気になって借りてみたのです。TUTAYAさんに発掘されてよかったと思います。心が揺さぶられ、涙を流しながら観ました。

 あらすじはこうです。

 スポーツライターの仕事で大忙しのミッチは、結婚間近の彼女と一緒にいるのに全然向き合わず、“I LOVE YOU”の言葉も口先だけになっていました。結局、彼女がもう待てなくなって、お互いI love you なのだけれども別れ話になりつつありました。そんなとき、たまたま付けたTVで、現在、不治の病にある大学の恩師モリーの存在を知ります。そして、16年ぶりに会いに行くのです。始めは、1100キロも離れた恩師に連続して会いに行くことになるとは、思っていなかったのですが、モリーと話すうちに、愛、結婚、死などと向き合うことについて恐れていることに気付いていきます。そして、モリーをコーチと呼び、毎週火曜日にモリーから、「本当の幸せ」について、考えさせられるのでした。

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 映画の中で、印象的な言葉が本当にたくさんありました。

きみは、泣くことや触られることを避けているだろう?
きみは、今だにサヨナラが下手だ。
きみは、何かから逃げてる。
死に方が分かれば、生き方がわかる。
人を拒み、どうやって人を思いやるのか?
相手を失うことが怖くて愛せないんだ。
本当に欲しいものは何か?
愛を素直に受け入れよう。
全ての人を許しなさい。
人生でいちばん大事なことは、愛をどうやって外に出すか、
どうやって中に受け入れるか、その方法を学ぶことだよ。
ナンバー2じゃ、いけないのか?
人生に意味を与える道は、人を愛すること、
自分に満足しているかい?

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 映画を観ながら、ライフコーチングの疑似体験のようでした。
自分を許していないこと、他人を許していないこと、愛を受け入れようとしていないこと、自分は幸せか?、感情を味わうこと、受け容れること、幸せとは何か? 考えさせられるでしょう。

 「君は、私の心に触れた」というモリーの台詞が、最後の方にありました。
浅いところでの会話と心に触れる対話との違いを映画から、感じ取ることができました。

 また、モリーは、教えているようで、実は、ミッチを導いているようにもみえました。それが、私にとっては、最も印象に残った点です。

 クライアントさんに、「導いて頂いてありがとうございました」という感想をたまに頂くことがあります。正直、「私が導いたと言うよりも、歩いているのはクライアントさんだけど…。何か導いたかな?」とずっと不思議に思っていました。しかし、この映画を観て、やはり導いているのかもしれないと、納得の糸口をキャッチしました。

 「一体どこへ導いているのか?」そんな問いが立ちました。

 たまたま、映画を観た翌日に、コーチングを知らない男性と話す機会がありました。私がコーチであることも知りません。最初は、世間話から始まったのですが、やがて、相手の人は、最近、体の不調な部分があるという話をし始めました。ふざけているのかな? と思うほど、コミカルに話していたのですが、これは、ちゃんと聴いてみたらどうなるだろうか? と、そこから、傾聴モードに切り替えました。

 私が思う傾聴モードというのは、話を遮断せずに、相手に話してもらうように促すということです。

 結局、その人の体の不調は、イベント的な出来事が起きるときに、繰り返し起こっていることであり、知らぬ間に、治ったり、また不調になったりを繰り返していることが、わかりました。ご本人、全くそのことに気付いていなかったのです。病院へ行って、薬をもらえば外側からは治るでしょうが、実は、精神的な部分が関与していたことが分かりました。

 話の結末が見えてきたころ、自分だけが、ほとんど話していたことに、その方は、びっくりされていました。「どうしたらそんな風に聴けるのですか?」と聞かれたときに気づいたのが、導いているのは、「心の声」が聴こえてくるように導いているのだということです。

 ゴールに向かって歩んでいるというよりも、心の声が話してくれるように、相手に寄り添って、聴いているということです。「心の声語」というものが、存在しているのではないかと思います。それを意識しながら、毎日過ごしたら、きっとまた何かに気付けそうな気がしています。

 聴く仕事をしている自分の視点から、感想を書いてみました。とてもオススメの映画です!

 モリーと会って話をすることで、変化していったミッチ。その後、恋人との関係もうまく行きました。(この作品はノンフィクションです)きっと、映画を観ている人も、心が変わる体験ができるかもしれません。





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