「断ることが苦手」で見えてきたこと。

 断ることが苦手というテーマのセッションがありました。

 仕事の飲み会で、カラオケは嫌いなのに行くことになったようです。そのときの決断は、折角、出張でやってきた人に悪いかなと思い、参加することにしたそうです。しかし、悪いかなと思って、つきあった割には、後になってみると、楽しくない感じがして、行かなければよかったと、家に帰ってとても疲れたようでした。毎度、こんな思いをするそうです。

 仕事の場面では、お付き合いもあるかもしれませんが、断ってもいい場面というのもあるでしょう。そんなときも、できるだけ断らない理由を考え出して、自分の意に反する行動をとってしまいがちなのだそうです。

 期待にこたえるために、断っちゃだめとか、よい関係を作るために自分が我慢することが必要なのだと、考えるようになっていました。

 しかし、自分のなかでは「誰か私のことも考えてよ」と叫びたいのだそうです。人に悪いかなと思うことで自分に嘘をつき続けているとも言えます。他人と自分との境界線みたいのが曖昧で、自分の声がどれかわからないようでした。

 中学生の頃に友達に言われた言葉でびっくりして、それから人の顔色を伺って、自分の出方を決めるということが、当たり前になってきたのかもしれないという過去の話も出てきました。

 一方、ありのままでいられるときと言うのもあるそうで、それは、相手の人が話を聞いてくれるときで、この人は、ありのままでいても大丈夫だと自分が判断できたときのようです。

 ありのままでいられるときと、いられないときの違いが激しすぎるので、どうやったらバランスが取れるのか?と、考えていきました。
 私が、話を聞いて感じたのは、自分が聞いてもらえると感じた時に、ありのままになれると言うことは、一方通行だなということです。

 クライアントさんに、自分は、相手の話をありのままに聞いてあげられるか? と聞いてみたら、聞くことが少ないことに気づかれていました。つまり、バランスで考えてみるならば、相手の話を聞いてあげることができればいいと言うことです。

 そこから、相手のことをよく見ないうちに、顔色をうかがって、相手の感じていることを想像し、それを事実化して、自分の出方を作りがちというのが見えてきました。

 「相手に聞いてみる」ということをしてみてはどうでしょうか。

 自分が嫌な仕事を部下に頼むのは悪いから、なかなか頼みにくいとおっしゃいました。
しかし、自分が嫌いな仕事かもしれないけれど、部下からしてみたら、結構好きな場合もあるのです。聞かないうちに、自分が嫌いだから、相手も嫌いだろうという風になっていたのです。

 もし、部下にその仕事を頼んで、「嫌いな仕事です」と言われてしまったら、どうしたらいいか? と聞かれました。私が思うのは、「そうか、嫌いなんだね。でも、仕事だからね…。何かヘルプできることがあるかもしれないからその都度言ってね」と相手の気持ちを聴いてあげることができれば、それでまずはいいと思います。相手も、仕事だからと分かっている場面です。ここで、押さえるべきところは「嫌いなんだ」と上司に気持ちを理解してもらったことで、部下が少し気持ちが楽になると思うのです。


 冒頭のカラオケの話に戻ります。自分も参加してみないと悪いかなと思った相手に、「カラオケが私、ちょっと苦手なんですけど・・・」と聞いてみてから、どうするか? 決めることもできたのではないでしょうか。クライアントさんにそう言ってみると、「行くか、行かないか、一発で決めようとしていました」と言いました。「相談する」ということは、考えていなかったようです。ちなみに、相談するときには、相手が受け取りやすい言葉を使うように配慮します。「嫌い」よりも「苦手」のほうが、柔らかい表現に感じます。

 セッション全体を通してみて、クライアントさんが見えていないのは、「相手を見ること」です。断ったら、印象のよくない人に思われるという風に、自分のことを守ろうとするばかりに、自分の意に背き続けていたということです。つまり、相手のためと思いやるばかりに、実は、自分のためのようで、自分のためにもなっていませんでした。

 相手にも相談してみてから決めるという選択肢を持てれば、自分の気持ちにも自分でちゃんと向き合えるようになるのではないかと思います。

 クライアントさんが、「空気を読むことって、堀口さんはどう考えていますか?」と質問をしてきました。私は、空気を読むことは、「ちゃんと見ること」だと考えています。


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

相手のこと、ちゃんと見えていますか?

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