相手の話を先入観なしで聴くこと。

 数年前にコーチングを勉強し、最近、部下にコーチングスキルを活かすことになったクライアントさん。事前にどうコーチングするか、確認することになりました。
 その部下は、「変化することが怖い」と感じるタイプのようで、クライアントさんとしては、面談の前に相手の現状と思われるものを15個書き出して用意したようです。

 しかし、クライアントさんがなんとなく、最近私の書いた記事の中の言葉を気になっていると言われました。私がムンク展へ行った感想記事のなかで「見えているものと見えるものは違う」というムンクの言葉を描いたことや、まったくやったことのない競技の選手のコーチングをした時の記事では、「経験がある人からのアドバイスは、自分のことを見てもらっていないですからね」とクライアントさんが言ったことなどです。

 つまり、「面談の前に相手の現状を予測している」というのは、こちらが見えていることで、もしかしたらもっと心の目で見ないと、見えていないことのほうが多いのではないでしょうか。また、競技の選手のこともそうです。こちらが経験があると、心の目で見ることを怠ってしまうのです。

 つまり、「何も用意しなくていいです」ということになりました。そのときにはじめて相手から話してもらえばいいのです。私は初対面で話すこともとても多いですが、何の情報がなくてもコーチングをしています。コーチングとはそういうものなのです。継続のクライアントさんのセッション準備用紙も、一度読んでおくのみにしています。事前に戦略を考えると、決めつけが入りやすいと思います。




 その後、どうなったのか? クライアントさんから、ご報告のロングメールを頂きました。

私主導で、セッションしなくて、ほんとによかった、って思いました。私主導だったら、きっと、もっと部下をを追い込んでいたかもしれません。結局、不安を聞くところまではできて、そこはよかったです」とメールをいただきました。そのあとは、もう少しこうすればよかった、という改善点も出てきたそうですが、前進されたのではないかと思います!
 
 そして、そのほかの展開もすごいことになっていました! 研修でたまたま隣に座った人との出逢い。たまたま通ったところでの出逢い。また、いつもお世話になっている先生からも、いい言葉をもらう。旦那さんとの会話もいつもなら論議になるところが、合意に落ちついたようで、クライアントさん曰く「ミラクル」だったようです。

 最近、「新しい出会い」をしているクライアントさんが多いです。「たまたま隣に座った人が、初めて出逢った気がしなく意気投合しました」とおっしゃる方も! どのお話を聴いても、「いいなー、いいなー!」と私も思ってしまうほどの出来事が世界各地で起きています。「よかったですね!」と私はたくさん言う機会に恵まれ、それが私の幸せにつながります。

 いつでも相手の話を先入観なしで聴くこと。きっとその状態になっていると、いろいろな出逢いも起こりやすくなるのかもしれませんね。私も傾聴を学んだあとから、より出逢う力がついたと思います。聴くことは幸せにつながるのです。