対話力を学ぶ「ALL EARSコミュニティ」の平日クラスは現在、Lesson 9まで進行しました。全18レッスンの予定に対し、教材の37%しか終えていない状況です。このペースでは、当初の予定を1年以上超過する可能性があります。また、各レッスンの所要時間も予定の45分を大幅に超え、約70分かかっています。第一期生であるため、実験段階というのもあります。この経験は、今後のコース設計や時間管理の最適化に役立てていきます。
今回のレッスンのテーマは「質問のテクニックを磨く」でした。この章では、ChatGPTをクライアント役として使用し、実際のコーチングセッションを再現しています。
本書の特徴として、対話が即興のまま掲載されています。この章を執筆中、私は突然「ChatGPTをクライアント役にして、私のセッションを披露できないだろうか?」というアイデアを思いつきました。そこで、ChatGPTに「クライアントに成りすましてもらえますか?」と尋ねたところ、快諾を得ました。興味深いことに、ChatGPTは「ワークライフバランス」に悩むクライアント役を演じてくれました。この節の最後に、私が行った質問をChatGPTにまとめてもらいました。
この内容を踏まえ、ヨガのインストラクターをしている参加者から「あのとき、別の質問が思いつけばよかった」というコメントがありました。この興味深いやりとりについて、記事にまとめます。
こちらのバイアスがかかった質問と相手にすべき質問の違いについて
コーチングや指導の現場では、質問の仕方一つで相手の気づきや成長を大きく左右することがあります。しかし、私たちの多くは無意識のうちに自分のバイアスがかかった質問をしてしまうことがあります。このバイアスは、相手の本当の感情や考えを引き出す妨げとなることがあります。今回は、参加者Mさんの体験を通じて、自分のバイアスがかかった質問と、相手にすべき質問の違いについて考えてみましょう。
バイアスがかかった質問の例
Mさんは、ヨガのセッション中に生徒さんに対して「このポーズをしているとき、楽しいですか?」という質問をしたそうです。この質問には、いくつかのバイアスが含まれています:
- 事前の思い込み: Mさんは、生徒さんが肩こりと頭痛を訴えていたため、上半身のポーズが効果的だろうという思い込みがありました。このため、下半身のポーズを提案されたときに戸惑いが生じました。
- 自分の期待: Mさんは、生徒さんが楽しんでいるかどうかを確認することで、自分のセッションが成功しているかどうかを判断しようとしていました。
- 相手の感情の決めつけ: 「楽しいですか?」という質問は、相手がすでに楽しんでいるという前提で問いかけています。これは相手の本当の感情を正確に把握するのを難しくします。
相手にすべき質問の例
一方、バイアスを排除した質問は、相手の感情や考えを引き出すためのものです。以下は、バイアスを排除した質問をライフコーチの私が提案した例です:
- 事実に基づく質問: 「このポーズをしているとき、何か体の変化を感じますか?」
この質問は、相手が実際に感じていることに焦点を当てています。 - 観察に基づく質問: 「上半身の動きよりも下半身の動きをしたときの方が、笑顔が見えましたが、何か感じる変化がありましたか?」
ここでは、Mさんが観察した事実をもとに質問をしています。この質問は、相手に自分の感情や体の反応を振り返る機会を与えます。
- オープンエンドな質問: 「このポーズをしているとき、どんなことを感じましたか?」
オープンエンドな質問は、相手に自由に答える余地を与え、彼らが自分の感情や考えをより深く探求する助けとなります。
バイアスを排除するためのポイント
- 観察を大切にする: 自分の思い込みや期待ではなく、相手の行動や反応に基づいて質問をすること。
- 開かれた質問を使う: イエス・ノーで答えられる質問ではなく、相手が自分の考えや感情を詳しく説明できる質問を心がける。
- 自己認識を高める: 自分自身のバイアスや思い込みを認識し、それを排除する意識を持つ。
結論
質問の仕方一つで、相手がどれだけ自分の感情や考えを深く掘り下げるかが決まります。バイアスのかかった質問は、相手の本当の気持ちを引き出すのを妨げるだけでなく、対話の質を下げる原因にもなります。
Mさんの体験から学ぶべきは、常に自分のバイアスを意識し、相手の立場に立った質問を心がけることの重要性です。相手へ質問をするときは、こちらの思い込みやバイアスを排除して、相手が答えたくなるように工夫しなくてはならないのです。
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