【傾聴力】この相談者に、あなたならどう返しますか?

 先ほど、奇数月に開催している「ALL EARS」コミュニティのレッスンがありました。この夏を通して、皆さんの傾聴姿勢に変化が見られたようで、以前は相手の言葉にすぐ反応して返していた方々が、まずは相手の話を受け止めてから返答する余裕が生まれたようです。反射的に返すというのは、感情的にぱっと思いついたことを言ったり、何かを言わなければと咄嗟に発してしまうような言葉です。以前そのように言葉を紡いでいた皆さんが、相手の言葉がどこから来たのかを想像したり、一呼吸置いてから返したり、適切なタイミングを計るようになった姿は、傾聴の姿勢が確実に身についている証拠だと思いました。このような姿勢が身につくことで、「私は優しくなれた」と感じ、自己肯定感も上がっていくものです。皆さんの素晴らしい成長を見ることができて、校長としてとても嬉しく思います。(笑)


 さて、今回のレッスンは第二章第三節「共感力のテクニックを磨く」です。この節では、私がChatGPTにネガティブな感情にどう寄り添うかを実際にロールプレイでお見せし、最後にそのテクニックをまとめています。今回はChatGPTに相談者役を演じてもらったのですが、ある参加者が「ChatGPTが落ち込んでいる」ことに笑いが起きました。(笑)確かに、ChatGPTに落ち込む役をやらせたのは少し無茶振りでしたが、ChatGPTはアルゴリズムを通して人間の感情を理解しているため、見事な演技を見せてくれました。

さて、ここで問題です。この相談者に対して、あなたならどう返答しますか?今日のレッスンのハイライトはまさにここでした。


参加者の皆さんは、こんな風に答えました。

・何があったの?

・どうしたの?

なぜそう質問したいのかというと、相手の状況を把握し、一緒に考えるためだそうです。

なるほど。では、私はどう返したでしょうか?

 皆さんの返答とは異なるアプローチを取りました。私はただ、相手の感情をそのまま受け止めることに専念しているのです。皆さんの返しは、まるで現場検証のようで、問題を見つけて解決しようという姿勢が見えました。しかし、相手は本当に問題を解決してほしいと思っているのでしょうか? また、詳細を話したいと感じているのでしょうか? おそらく、この場合はそうではないと思います。

 私がセッションで意識しているのは、相手に詳細を無理に引き出そうとしないことです。相手が話したくなったり、あるいは「もっと話した方がいいかもしれない」と自ら感じると、自発的に話し始めてくれます。そういった状況はよくあります。だからこそ、相手が自分から話し始めるまで、私は聞き手に徹するようにしています。

 「その境地になりたい!」という声も聞こえてきました。こちらからあれこれと聞き出そうとしないことで、ネガティブな話もポジティブな話も、相手が自分から進んで話してくれるようになるのです。

 今日も予想外のところに着地しましたが、対話の時間はやはり素晴らしいものですね。