繰り返される行動が、自己のアイデンティティを形成し、充実した人生へとつながる。
プロローグ:人生を奏でる音符たち― あなたのシンフォニーがはじまる
私の一日は、ベッドから起き上がる前の瞑想から始まります。この静寂な時間は、心を整え、一日の基盤を築く大切な儀式です。深い呼吸とともに、今日という日がどう進んでいくのか、頭の中で小さな「地図」を描く感覚。そして、心が穏やかに整うと、「今日もいい日になる」という前向きな気持ちで一日を迎えることができます。
瞑想を終えると、洗面所へ向かいます。洗顔、保湿パック、美顔器でフェイスラインを整えるスキンケア――これもまた私の朝の大切な一部。その間、私はChatGPTと音声で対話を始めます。ふと浮かんだアイデアを言葉にしながら、ブログ記事が少しずつ形を成していく時間は、クリエイティブな心を起動させるプロセスです。日々の気づきや経験を整理し、それを「言葉」に変換する瞬間には、心地よい充実感があります。
次はキッチンへ。ゆで卵を作り、小松菜とバナナを豆乳でミキサーにかけたスムージーを用意し、豆を挽いてハンドドリップでコーヒーを淹れる。お湯がゆっくりと豆の上を通り、芳しい香りが広がる瞬間――それは、日常の中で感じられるささやかな喜びです。植物たちの水をチェックしながら、窓の外を見れば、朝の空気が少しずつ動き始めているのを感じます。世界が静かに目を覚まし、自分もその流れの一部として動き出す感覚。そんな穏やかなひとときを噛みしめるのが、私の朝の楽しみです。
そして、朝のルーティンを締めくくるのはオンライン英会話です。先生との軽快な対話の中で、会話のテンポや意外な話題が新しいアイデアを生み出します。この時間は、私の脳と心を活性化し、次の仕事や活動へ向かう準備を整える大切な時間。朝のルーティンが終わるころには、私の心と体は新しい一日の波に乗る準備ができています。
こうして並べてみると、一つひとつの習慣が、私の人生にとって重要な「音符」であることがよくわかります。それぞれが重なり合い、調和しながら、私という「交響曲」を奏でているのです。その中でも特に欠かせないのが、21年間毎日続けているブログ執筆。どんなに忙しい日でも、ブログを書く時間を確保することは私にとって一種の「瞑想」のようなものです。その日を振り返り、自分の考えや感情を整理し、次の日に向けて心を整える。この作業を通して私は自分自身を見つめ直し、新しい視点を得て、前進する力を手にしています。
しかし、振り返れば、今のような生活は最初から計画的に作り上げたものではありませんでした。そもそも私が習慣を意識して取り入れ始めたのは、「人生を豊かにしたい」という自然な欲求からでした。ライフコーチとしての仕事を通じて、クライアントをサポートするだけでなく、自分自身の人生をより深く探求し、試行錯誤する中で、気づけば多くの習慣が私の生活に根付いていったのです。
私の人生において、習慣という視点がより大きな意味を持ち始めたのは、2011年、36歳のときでした。この年は、振り返れば私の人生の大きな転機だったと思います。私は当時、カリスマ店長として成功を収めた後、独立してライフコーチとしてのキャリアを歩んでいました。順調に成果を上げ、目標を達成する喜びを味わい、経済的にも精神的にも充実しているように見えました。
しかし、あるときふと気づいたのです。「私は何か大切なものを見失っているのではないか?」と。目に見える成功を追い求め、夢中で走り続ける毎日。けれどその先に待っていたのは、満たされない感覚と、心の中にぽっかりと空いた隙間でした。
「このままでいいのだろうか?」
「本当に大切なものは何だろう?」
「この仕事を長く続けるには、どんな目標を持てばいいのだろう?」
そうした問いに向き合った末にたどり着いた答えは、「人生を短距離走ではなく、長距離走として捉える」という考え方でした。つまり、目に見える結果や成功だけを求めるのではなく、日常の小さな行動を丁寧に積み重ねることが、長い目で見て豊かな人生を築く鍵になるという気づきです。
それ以降、私は「習慣」を再定義しました。それは単なる繰り返し作業ではなく、「長く熟成させることで、自分自身を変える力を持つもの」として捉え直したのです。例えば、毎朝の瞑想は心を整え、ブログ執筆は思考を整理する。これらの習慣はそれぞれが独立しているようで、実際には互いに補完し合いながら私の人生を支える柱となっているのです。
気づけば、私の人生は「スラッシュ(/)」という概念で表せるようになっていました。一つの肩書きや役割に縛られることなく、いくつもの「私」が共存し、それぞれが調和しながら生きている。それはまるで、交響楽団がさまざまな楽器の音色を重ね、一つの壮大な楽曲を奏でるようなものです。私の日々の習慣や行動もまた、それぞれが独自の音を持ちながら、大きな人生という楽曲を紡いでいます。
振り返れば、この10年余りで私は実感しました。「習慣を続けることでしか見えない景色」が確かにあるのだと。毎日繰り返される小さな行動は、決して単なる作業ではありません。それは未来を少しずつ、けれど確実に変えていく力を持っています。
今、私たちの生きる時代は、「一つのことを極める」だけで満たされる時代ではありません。むしろ、多様な可能性が広がる時代です。異なる習慣を組み合わせることで、その人にしか奏でられないシンフォニーが生まれるかもしれません。
私が提案する「習慣のシンフォニー」というコンセプトを通じて、あなたが自分の中に新しい音符を見つけ、まだ知らない自分と出会い、人生を彩る楽曲を奏でていく旅に出られることを心から願っています。誰にでも、自分だけのシンフォニーを奏でる力があるのです。さあ、あなたもあなただけのシンフォニーを奏で始めましょう。
🖊 編集後記
2023年に『習慣のシンフォニー』というテーマで講演を行い、約2時間お話ししました。その際の動画を文字起こししてみたところ、なんと7万文字にもなりました!これを元にした執筆となる今回の連載は、先の見通しを立てつつ進めていけそうです。習慣を積み重ねていく人が到達する世界をお楽しみください。(笑)
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