自分で自分を決めつけないで。
なれる自分を見つけて、それにもなってみよう。
2.4 ステップ2──性格を変える
誰にでも、自分に自信が持てない部分があるものです。私の場合、そのひとつが「せっかち」な性格でした。
常に頭の中は未来のことでいっぱい。次にやるべきことを考えてばかりで、目の前のことに集中できない。そんな自分を変えたくて、私が次に挑戦したのがヨガでした。
ヨガとの出会い
2011年11月、昨日、ジムで筋トレしていたときに「ヨガのクラスがあります」と、スタジオのインストラクターがジムエリアにお知らせに来て、「あ、ヨガかぁ」と思って、家に帰ってジムのスタジオスケジュールをチェックしてみました。すると、初心者でも大丈夫そうなコースが、いくつもあって、しかも昼下がり時間帯という、私にとってはいい時間帯でした。
「リラックスヨガ? これならできるかも?」
それまでの自分なら、絶対に選ばなかったレッスン。ジムには大きなスタジオがあるのに、私にとっては、未踏の地。でも、なぜかそのときは直感的に「これだ!」と思い、参加を決めたのです。
レッスン当日、私は先生の動きがよく見える場所にヨガマットを敷きました。当時、先生は20代後半、私は35歳。まさかこの出会いが、その後の人生を大きく変えるとは思いもしませんでした。
ヨガといえば「体を柔らかくするもの」「運動不足を解消するもの」というイメージが強いかもしれません。でも、私にとってのヨガは、それだけのものではありませんでした。
レッスン中、先生がふとこんな話をしてくれました。
「ヨガはもともと、若い男性が持つエネルギーや欲望をコントロールするために生まれたんですよ。」
この言葉を聞いた瞬間、ハッとしました。
たしかに、私の頭の中は常に未来のことでいっぱい。「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」と雑念ばかりで、今この瞬間に集中することが苦手でした。
つまり、ヨガは単なる「運動」ではなく、むしろ「心を整えるため」に必要なものなのでは?
そう考えると、「筋トレしか知らなかった私が、ヨガを始めるなんて……」と、自分の中で大きな変化が起こっていることに気づきました。私は「性格を直したい」という理由で、ヨガをはじめることに決めました。
それまでの私は、何をするにも効率を最優先していました。「どうせやるなら、短時間で効果が出るものを」と考えていたので、ゆっくりと呼吸を整え、丁寧に動くヨガは、まるで「真逆の世界」でした。
ヨガをしているときだけは、「今、この瞬間」に意識を向けることができます。筋トレのように「○kgの重りを持ち上げる」「何回こなす」といった明確な目標はなく、ただ呼吸を整え、心と体を観察する。そのシンプルさが、そのときの私に必要なものだったのです。
呼吸と向き合うことで、時間の感覚が変わっていきました。
1分しかない!が、
1分ある!に変わりました。
また、自分の呼吸がいかに浅かったのかに気づきました。
「身体にたまったネガティブを吐き出しましょう」という言葉も面白いなと思いました。呼吸で、そういった負のエネルギーをリリースできることに面白さを感じました。
そして実際にイライラしたときには、呼吸で身体の中にあるグレーの煙みたいなものを吐き出すイメージで整えることを覚えました。
そう考えてみると、「深く呼吸をする習慣がない」ことで、せっかちを生み出していたのかもしれません。
75分のリラックスヨガのクラスは、リラックスというよりも、むしろ修行のように感じていました。ポーズをホールドする時間が長く、その間、無意識に息を止めてしまうことも。すると先生がこう声をかけてくれました。
「呼吸をしてください!」
また、痛みを感じて顔をしかめると、
「痛い顔をしない!」
バランスが崩れると、
「グラグラの中心を見つけてください。」
最初は半信半疑でしたが、言われた通りにしてみると、驚くことに痛みが和らぎ、呼吸を意識すると疲労感が軽減され、バランスポーズもうまく取れるようになったのです。
ある日のレッスン前、先生がこんな言葉をかけてくれました。
「心が先に折れるけれど、身体は大丈夫なことが多い。だから、やってみましょう。」
この言葉は、特に印象に残っています。
「ダメかも」と思って諦めるのは、ただ感情に流されているだけ。しかし、「身体はどうだろう? 大丈夫ならやってみたら?」と自分に問いかけることで、新しい視点が生まれました。それは、ただの我慢とは違う、不思議な感覚でした。だって、実際に身体は大丈夫なのですから。
「痛い」「面倒くさい」と思ったとき、私たちは知らず知らずのうちに、自分自身のエネルギーをロスしているのかもしれません。そう気づいてからは、「身体が大丈夫ならやる」という選択ができるようになりました。そして、それと同時に、メタ認知する力も養われていったのです。
ヨガを始めたばかりの頃は、ポーズの痛みに意識が向き、「雑念を考えている暇がない」という状態でした。しかし、続けるうちに少しずつ変化が訪れ、いつしか「ヨガそのものに集中している自分」へと進化していました。
ヨガは、単なる運動ではなく、心を整え、自分自身と向き合う時間。心だけでなく、日頃の姿勢への意識が高まり、普段使えていなかった筋肉を動かすことで生まれる安心感も得られるようになりました。そして、中年になった今も体重が変わらないのは、こうしたヨガのさまざまな効果のおかげでしょう。
「アンチエイジングが気になり始める前から運動習慣を持てば、50歳になっても若々しくいられるはず」——そう思い描いていた通り、最近ジムで受けた血管年齢チェックの結果は36歳。体型もまったく変わらず、思い描いた未来が現実になっています。
つまり、運動は、不調を感じてから慌てて始めるものではなく、問題が起きる前に未然に防ぐ習慣として続けるほうが、ずっと楽なのです。
年齢とともに基礎代謝は落ちていくものですが、ヨガを続けることで深い呼吸とともに筋肉が活性化され、代謝を適度に保てると実感しています。特に、ゆっくりとした動きと深い呼吸の組み合わせは、内臓の働きを助け、エネルギーの消費効率を高める効果があるようです。
そして、意外だったのは、「運動すると疲れる」のではなく、「運動したほうが疲れない」と実感できるようになったこと。以前なら、肩こりや軽い頭痛があるときは「今日は無理せず休もう」と思っていました。でも、今では「こんな時こそヨガをしよう」と考えます。実際に体を動かすことで血流が促され、症状が和らぐことを何度も経験してきました。
また、ヨガを続けることで、日常の中で無意識に力んでいる自分に気づくようになりました。たとえば、肩に余計な力が入っていたり、呼吸が浅くなっていたり——。
ヨガの習慣を通じて、こうした「無駄な緊張」を手放すことができるようになり、結果としてエネルギーを効率よく使えるようになりました。これは単なる偶然ではなく、ヨガがもたらすさまざまな効果が影響しているのだと思います。
ふと過去のブログを振り返ると、「ダウンドックをキープするのが大変」と書いていました。あの頃は必死だったのに、今ではすっかりリラックスのポーズに!
未来の健康のためにと、せっかちにアンチエイジングを始めたあの頃の自分に感謝するとともに、今も変わらずヨガのインストラクターを続けている先生にも心から感謝しています。
■編集後記
"Your personality creates your personal reality." (あなたの性格が、あなたの現実を創造する。)とは、Dr. Joe Dispenza博士の有名な言葉のひとつですね。
これは、「自分の思考、感情、行動のパターン(パーソナリティ)が、現実(リアリティ)を形作っている」という意味です。私は自分を変えたいと思ったとき、こうして、まずは自分自身のあり方(パーソナリティ)を変えることを意識しています。
そして真の自由とは、自分を決めつけずに、いろいろな自分を体験することを意味します。
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