「ありがとうを100万回」じゃなくて、“1回”を本気で感じた話

「ありがとうを100万回唱えると、涙が出てくる」

 そんな話を、スピリチュアル系の本やセミナーで目にしたことがある人も多いかもしれません。確かに、感謝の言葉には大きな力があります。

 でも昨日、100万マイルのNさんの手記をまとめながら、ふと、こんなことを思ったのです。

 たとえば、誰かにプレゼントされた旅だったら、同じように心が震えただろうか? もちろん、それも素敵な体験に違いありません。

 でも――今回のように、「自分の意志で選び、決めて、行動し、自分に与えた体験」だからこそ、深い部分が静かに、そして確かに震えるのではないかと思ったのです。

 もしかしたら、涙がこぼれる瞬間とは、“人生でいちばん自分を大切にしている瞬間”に、そっと流れ出すものなのかもしれません。


 それは、Nさんの「100万マイルの旅」の話を聞いていたときのことでした。

 彼女は、世界15社のスカイチーム系航空会社に30日間で乗り、100万マイルの獲得を目指して、たったひとりで旅に出ました。

 ルールに則って、綿密にフライトを組み、夜行便を織り交ぜながら、都市を渡り、耳を壊し、風邪をひきながらも、体力も気力もギリギリの中で、それでも――前へ進み続けた。


 そして旅の初日。ベトナム・ハノイのホテルで、彼女はバスタブに浸かりながら、涙を流します。それは達成の涙ではなく、“はじまり”の涙でした。

「私が、世界一周してるなんて……信じられない。」

その涙は、誰かに与えられたご褒美への感謝ではありません。それは、「自分が、自分に贈った体験」への、心からの感謝だったのです。

✈️ 「ありがとうを100万回より、たった1回の“本気”を。」

私たち、大人になると、

ついつい自分を“後回し”にして生きてしまう。

家族のために

仕事のために

世間体のために

「自分にお金や時間を使うなんて、贅沢」

「自分の欲は、いつか後でいい」


でも、Nさんの旅は、それを真っ向からひっくり返した。

お金を、自分のために使って、

自分の力で、自分を連れ出し、

世界を見せてあげた。

あのハノイの夜。


Nさんの中で何かが決壊し、

でもそれは壊れることではなく、

「ほんとうの自分」が生まれる瞬間だったのかもしれません。


100万回「ありがとう」と唱えなくても、

たった1回、本気で「ありがとう」と思える体験があるなら、

それだけで、人生は優しく、強く、変わっていく。


🕊 今日の問いかけ:

あなたは、最近――

自分に何か、してあげられていますか?