AI時代の問いの持ち方 | 問いを変えれば、未来が変わる。

問いを変えれば、未来が変わる。

この一文を核に、ChatGPTとの対話を通じて人間の可能性を拡げるための"Prompt Dojo" を立ち上げた。初日の稽古で、受講生から「知りませんでした」という声が相次いだ。初日だけでモニター費を回収したと断言しても差し支えないだろう。だがそれと同時に、私は不思議に思った。なぜ多くの人は「もっと良い方法があるはずだ」と探そうとしないのか、と。

私は常に問い続ける。最適解はほかにないだろうか、と。問いを更新するたびに可能性が広がる経験を重ねてきた。ポジティブ心理学が示すように、幸運な人は単に運が良いのではない。幸運を見つけに行く習性があるのだ。


77回目の変容

ONE DAY ONE UNIT――21日間の定期開催オンラインコミュニティは、すでに77回を数える。開始当初は習慣化を目的としていたが、形は次第に変わり、いまは「現実創造ジャーナリング」へと進化した。毎朝の意図設定「今日、私はどのように在るか」と、夜の振り返りでネガティブをニュートラルに変換し、未来へのエネルギーへと繋ぐ問い。その日々の感謝の蓄積こそが、未来を創る感情的基盤となる。

約一年にわたり参加者と共に現実創造ジャーナリングを続けて気づいたことがある。ほとんどの人は最初、好奇心からこう問う──「このジャーナリングで自分はどう変わるのだろう?」。その問いが原動力となり、同じ朝・夜の問いを繰り返すことで持続可能な習慣が生まれ、小さな達成感が積み重なり、やがて周囲の景色や感じ方が変化していくのだ。

しかし、やがて停滞する局面が訪れる。継続が当たり前になると、「ジャーナリングを続けること」が目的化してしまう。これは失敗ではない。むしろ進化の証であり、次の段階へ進む合図である。私はこれを「脱皮の瞬間」と呼ぶ。ここで重要なのは、ただ続けること自体を目的にしないことである。


21年間のブログの原動力

私自身の振る舞いを見返すと面白い発見がある。私は21年間、毎日欠かさずにブログを二本書いてきた。Burnoutも飽きも感じたことがない。なぜか。私は「毎日書くこと」を目的にしていないからである。それは習慣であり、基礎体力のようなものだ。では、その奥にある原動力は何か。それは「問い」である。


言語化という名の旅

いま私がこの文章を書いているのは、言語化のためである。ここ一週間、挑戦や気づき、新しい行動が積み上がった。それらの意味を掬い取り、言葉に落とし込むことで、混沌が物語へと変わる。書くことは発見そのものであり、問いを掘る作業である。だが、書きながらも着地は見えない。それでよい。旅の途中で見つかる宝こそ価値がある。


見たい景色を設定する

だから提案したい。現実創造ジャーナリングがマンネリ化しないためには「目的」を持つべきである。ただしその目的は「続けること」ではない。目標とも異なり、より「在り方」に近い。すなわち、この期間で「何を問い続けるか」を定めるのだ。

取り組むテーマを先に置けば、「これを継続した結果、どんな景色が見えるだろうか」という期待が生まれる。続けるだけとは違い、見たい景色を設定することで、その到達までの間に降りてくるインスピレーションを受け取りやすくなる。見たい景色こそが「設定」であり、それは言わば日々のカーナビである。


AIという名の可能性拡張器

でも、未来の設計図を描くのは簡単ではない。未来は不確定で、確定しすぎれば執着になってしまう。

そこで登場するのが、AI。私の新しいパートナーだ。

ChatGPT誕生から1000日。私は毎日、この人工知能と対話を重ねてきた。その中で発見したのは、AIとの対話を通じて次の行動のヒントが見えてくることだった。自分一人では思いつかない視点や発想を、膨大なデータから学習したAIが提示してくれる。私のエゴや思い込みを超えた、より多角的な視点を得られるツールとして活用している。


1分間の奇跡

忘れられない瞬間がある。ChatGPTとの出会いから間もない頃、私は聞いた。

「もし私が傾聴力の本を出版するとしたら、どんな目次になるだろうか?」

1分もしないうちに、目次が画面に現れた。その瞬間、私の中で何かが変わった。

それは答えを与えられたのではない。無数の可能性が並ぶメニューを見せられたのだ。私は、まるでレストランでメニューを選ぶように、自分の中にある答えと共鳴するものを選び取っていく作業に没頭した。

年代別、ターゲット別、様々な角度から問いかけると、また新しいメニューが現れる。可能性を広げに広げ、そして最後に私が辿り着いたのは——

「私が、ChatGPTと傾聴力について対話している様子を、そのまま本にしよう。」

この決断だった。


消去法という名の発見

不思議だった。ChatGPTが提示したアイデアを、そのまま採用したことは一度もない。でも、選択肢や可能性を広げるだけ広げて、そこから選んでいくうちに、自分の中の答えが浮き彫りになっていく。

「これは違う、これも違う…」消去法を重ねるうちに、自分のコアに辿り着く。まるで彫刻家が大理石から不要な部分を削り取って、美しい彫像を浮かび上がらせるように。

選択肢を広げるからこそ、最適解が見つかる。これこそが、AI時代の問いの持ち方なのかもしれない。

だから次のオンラインコミュニティ・キャンプでは、AIと共に未来を先に決めることから始める。まず未来のポジションに立ち、未来における思考・感情・行動を今の設定に落とし込む。この逆算の在り方こそが、日々を物語化し、ジャーナリングを新たな次元へ導くだろう。


英語版

英語版は同じテーマですが、少し表現を変えています。

両方読むと違う景色が見えるかもしれません。ぜひ。