AIが見せた、まだ存在しない風景から始まったこと。
先日、ヨーロッパに暮らすクライアントさんと、いつものように90分のオンラインセッションをしました。
クライアントさんは、手作りのお菓子を現地のお茶屋さんに置いてもらうことになったところです。相談は、そのお店でお菓子の魅力をもっと伝えるにはどうすればいいか、というものでした。
お店やお菓子の写真を送ってもらいながら、立地、お客様の動き、お菓子の置かれ方を確認し、改善できるところを一緒に探していきました。
対話の場には、いつものようにセッション用のカスタムGPTもいます。
2006年から続けている対話の仕事に、AIが加わってしばらく経ちます。それでもこの日は、いつもと少し違うことが起きました。
## 頼んでいないのに、AIが画像を出してきた
私はカスタムGPTに、お店やお菓子の写真を共有し、状況を伝えていました。
GPTは、お菓子の並べ方を工夫するだけでなく、クライアントさんらしさが伝わる小さなコーナーをお店の中に作ってはどうか、と提案してきました。
そこで、思いがけないことが起きました。
私は「画像を作って」とは頼んでいません。それなのに、GPTのほうから売り場のイメージ画像を生成してきたのです。
実際のお茶屋さんで撮った写真のように、リアルな画像でした。
先週までは、私のGPTが自分から画像を出してくることは、ほとんどありませんでした。
それが今週は、話し合いの流れの中で、いきなり目に見える提案をしてきたのです。
「あ、まさにこんな感じじゃない?」
私はその画像を、すぐにクライアントさんに共有しました。
言葉で話していたアイデアが、二人で一緒に眺められる風景に変わった瞬間でした。
まだ存在しない売り場で、お客様の動きを想像する
画像が目の前にあると、考え方が変わります。
お茶を買いに来たお客様がここを通ったら、まず何が目に入るだろう。
お菓子に興味を持ったら、次に何を知りたくなるだろう。
配置は、もう少し変えたほうがいいだろうか。
頭の中だけでも想像はできます。でも、写真のような風景があると、そこに人が立ち寄る様子まで具体的に思い浮かびます。
まだ実在しない売り場を使った、小さな未来のシミュレーションです。
もちろん、その画像が実際の売り場での成果を約束してくれるわけではありません。
それでも、次の可能性を考える材料にはなります。
実際、私の中に一つのアイデアが浮かびました。
「ここにQRコードがあったら、いいんじゃない?」
QRコードから、お菓子の写真や作り手の想い、素材の話を詳しく紹介するWebページにつなげるのです。
店頭では伝えきれないことも、スマートフォンでなら知ってもらえるかもしれません。
AIが一つの可能性を見せる。それを見た人間が、次の可能性を思いつく。
そんなやり取りが、ごく自然に起きていました。
「それなら、今ここで作れるんじゃない?」
以前の私なら、「こういう紹介ページがあるといいですね」と提案して、セッションを終えていたと思います。
でも今回は、ふと思いました。
「あれ? これ、今ここで作れるんじゃない?」
私は普段から、AIを使って自分の案内ページを作っています。
だったら、この場で一緒に試してみよう。
クライアントさんにお菓子の写真や詳しい説明を追加で送ってもらい、AIと相談しながら、ページに載せる情報を整理しました。
GPTからは、こんな写真もあるといい、という提案もありました。手元にないものは、後から追加することにしました。
この時点で、販売上の課題も、お菓子の魅力も、伝えたいことも、それまでの対話ではっきりしています。
カスタムGPTにWebページ制作用のプロンプトをまとめてもらい、必要な情報と一緒にChatGPTに渡しました。
約5分で、Webページの試作品ができあがりました。
ドイツ語と日本語を切り替えられる、お菓子の紹介ページです。
90分間ずっと、サイトの設計をしていたわけではありません。
現実のお店について話し、写真を見て、売り場の改善を考える。その途中で、次のアイデアが生まれました。
それまでの対話があったから、最後に必要なものを短い時間で形にできたのです。
クライアントさん自身のAIでも作ってみる
今回は、もう一つ試したことがあります。
私のChatGPTでページを作ったあと、同じプロンプトをクライアントさんに渡し、ご自身のChatGPTでも作ってもらいました。
クライアントさんの手元にある写真を使い、同じように生成してもらいます。
出来上がりは少し違いましたが、ほぼ同じようなページができました。
これは、私にとってとても興味深い体験でした。
私が作って渡すだけでなく、クライアントさん自身がAIを使って形にするところまで体験できたからです。
できたページの共有方法もお伝えしました。
次に別のページが必要になったときも、クライアントさんは今回の経験をもとに、自分で試すことができます。
試作品だけでなく、作り方も一緒に持ち帰ってもらえた。
それが、今回のいちばんの収穫です。
私たちは、何をしていたのだろう
振り返ると、少し不思議な90分でした。
最初に見ていたのは、現実のお茶屋さんの写真です。
そこからAIが、まだ存在しない売り場の画像を作りました。
その画像を見ながら、未来のお客様の動きを想像しました。
すると、QRコードとWebページのアイデアが生まれました。
そして実際にページを試作し、クライアントさん自身のAIでも再現できました。
私たちは90分の間に、現実と、まだ存在しない未来を何度も行き来していたのです。
これって、少しSFのようではありませんか。
でも、特別な研究室での実験ではありません。
いつものクライアントさんとの、いつものオンラインセッションです。
AIが見せた風景から、次の想像が始まる
私は長年、人と対話しながら、まだ見えていない可能性を一緒に探す仕事をしてきました。
そこにAIが加わり、対話の途中で生まれたアイデアを、その場で見える形にできるようになりました。
しかも今回は、AIが自分から画像を出してきたことで、私たちの発想がさらに先へ進みました。
AIがすべてを決めたわけではありません。何を大切にし、どの提案を採用するかは、人間が考えて選びます。
それでも、AIが新しい風景を見せてくれると、人間が考えられることも増えていきます。
AIは、人間の想像を形にするだけではない。形になったものを見た人間は、さらにその先を想像できるようになる。
この90分で、私の中にいちばん強く残ったのは、その感覚です。
気がつけば、未来はもう始まっていた
未来は、案外静かにやってくるのかもしれません。
誰かと話している途中で、まだ存在しない風景が現れる。
それを見て、次のアイデアが生まれる。
「じゃあ、今ここで作ってみましょうか」
そんな会話が、いつもの仕事の一部になっている。
未来のセッションは、いつか始まるものだと思っていました。
でも気がついたら、もう始まっていたのです。
AIに「働いてもらう」流れを、一緒に整理してみませんか
今回のように、AIは使い方しだいで、考えるだけでなく「形にする」ところまで手伝ってくれます。
私が普段、実際にAIに任せている仕事を見ていただきながら、ご自身の仕事を「AIに任せる/AIとやる/人がやる」に整理する90分のオンラインワークショップを開きます。
AI自動化、どこまでできる?
AIを使う、から、AIが働く流れをつくる、へ。
- DAY 1:10月29日(木)19:30〜21:00
- DAY 2:11月7日(土)10:30〜12:00
(同じ内容を2回開催します)
カメラオフ・発言なしで参加できます。
0コメント