時間管理を見直してみたい…が、旅の話へ発展したセッション。

 職種柄、春の時期は忙しいクライアントさんが、「時間管理を見直せば、気持ちの持ち方が変わりそう」ではないかとのことで、「時間管理」がセッションのテーマとなりました。理想としては、0時に就寝できるくらいになりたいとおっしゃっていました。今は、終電生活のようです。

 昨年も「忙しいんです」とおっしゃっていたのですが、どうにか乗り越えていたような印象があったので、「昨年も忙しかったと思いますが、どう乗り越えたんですか?」と質問してみました。
 すると、「そうですね。ひとりでやってきたけれど、どうにか乗り越えていますね…」と答えが返ってきました。
 
 そして、話しているうちに、「業務量が多いというよりも、これくらいでいいのかもしれませんね。心に潤いがないですね」と、仕事のマネジメントというよりも、心が枯れてしまっているのをどうにかしたいという話になっていきました。
 心に潤いが欲しいと思った理由として、仕事をこなすことには余裕だけれども、家に帰ると疲れすぎて、こたつで寝る日々が残念な気持ちになるようです。

 
 ふと、クライアントさんが思いついたように言いました。先日、好きなアーティストのコンサートに久々に行ったそうなのですが、「これで頑張れる!」と思う感覚を久しぶりに感じたとのことです。
 つまり、「仕事の効率を上げるには?」を考えるよりも、「仕事が頑張れると思える感覚」を手に入れることが、どうやらクライアントさんの欲求に応えることのようでした。

 その後、以下のやり取りをしました。

「自分へのご褒美が最近ないですね。きれいな景色をみたいし、気持ちがすっきりとなるようなことをしたいんです。よく温泉へ行って、美味しいご飯を食べてという旅行はするのですが、それは、いつものパターンになっているから、ただ行くだけ旅行になっていて、リフレッシュされていないのかも(笑)」

「まるで出張のようになっているんですね。ていうことは、非日常ですかね?」

「そうですね。あのライブで味わった感覚が欲しいです。でも、音楽は昔趣味でしたになりつつある感じですね」

「これがあるから頑張れるという感覚を持てるような、新しいことですかね?」

「そうですね・・・。さっき、南の島で検索をかけていたんですよ。南の島に行って、いい景色をみたいです。地球が大きく感じる景色。360度見渡せるような。癒され感でしょうかね。最近、きれいな物とか、いいものをあまり見ていないかもしれません。海がみたいのかも!」

「地球が感じられる海ですか。海外の海は日本と違う景色だったりしますよ」

「海外は、選択肢になかったですね。全然、行ってないですね~」

「例えば、ニースは日本のような砂浜ではなく、白い石の浜だから、海の色が空の色をそのまま映しているし、砂浜の波打ち際の音が、カタカタカタって感じで、砂浜とは違う音を感じることもできるし」

「へぇ、そうなんですか!」

「360度だったら、ニースから近い、エズはすごい絶景です。人生で一度は、行った方がいいな~」

(クライアントさん、ネットですぐに検索)「わぁ凄いですね~」

「そのほか、360度だったら、モンサンミッシェルとか」

(クライアントさん、ネットですぐに検索)「凄い幻想的な写真ばかり!」

「フランスなんて、考えたこともなかったですね。ワインも飲みたいですね~」

「ムール貝にワインなんて最高じゃないですか!」

「そうですね~。今日は最高のセッションでした!ありがとうございました~」

というような流れで、時間管理のテーマから、自分の心が欲していることに気付くセッションになりました。

 
 聴き手によっては、「時間管理がテーマですね。じゃあ、どうすれば残業が減りますか?」とセッションが始まっていきそうですが、クライアントさんとしては、そうならなくてよかったとおっしゃっていました。

 この記事では、簡単にセッションの会話をまとめていますが、旅行の話が出てきたのは、セッション開始から40分くらいしてからです。相手の直感とか、思いつきにこちらも委ねながら、そのままどんどん話してもらうのです。そして、相手の感覚を引き出しながら、それを言語化する手伝いをしていきました。

 このセッションでしたら、「潤い、海、360度、地球が感じられる、キレイなもの」という相手が発したキーワードから、私の頭に浮かんだエズの絶景の話を相手にぶつけてみたら、クライアントさんが心のスクリーンに描いていた絶景のイメージが、はっきりと視覚化されたのだと思います。そこから、どんどん話が盛り上がっていきました。

 コーチングは、「同じスクリーンを一緒に見る」とか、「白いキャンパスに描いていく」というように例えられることがありますが、まさにそのようなことです。
 相手が描きたいと思っているけれど、どう色をつけていったらいいのかわからないところを、質問しながら、色をみつけ、描く手伝いをする感じでしょうか。
 すると、「そうそう、私が思っていた形は、そういうのだったの!」という発見ができるのです。

 傾聴の仕事は、キーワードからの連想ゲームみたいなところがありますね。

 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

どんな感覚で、仕事に取り組んでいるときが、いい状態ですか?


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