わからないだろうと思って言わないよりも、そのうちわかることを願って話してみる。

 「自分はどんなライフスタイルにしたいのか?」というテーマでのセッションでした。
 20代半ばで結婚され、今は30代半ばで、ご夫婦二人での生活のようです。クライアントさんは、自宅でご自身の仕事をされていらっしゃいます。周りのご友人も、結婚されており、子供がいる人もいるし、これから自分の夢のために、マイホームに自分の仕事専用の部屋を持つという人もいるとか。また、周りの40代の知人も色々なライフスタイルの形があるそうです。
 
 段々と話していくうちに、もしかして、子育てするとなったら? という話になっていきました。

 「子育ては、こうしたほうがいいとか、良い母親になりたいなど、勝手にプレッシャーを感じていて、どことなく心配な感じがありますね」とクライアントさんがおっしゃいました。色々と情報があることで、こうしなくちゃ、と囚われそうで、ちょっと不安な感じがするのだそうです。

 「心配するということは、それだけ色々調べたりもするから、知識がついていくのでは?」と私が返すと、「そうか~。そういう風に考えていけば、いいですよね」とハッとしたようにおっしゃいました。

 「不安を持っている」事について、もう少し深めていくと、自然とお母様の話になっていきました。
 弟さんが、8歳の時から、お母様がパートに出るようになったそうです。しかしながら家事は、一切、手を抜かないタイプというのもあり、カリカリしていたように、子供の自分には映っていたそうです。

 しかし、お母様は、「今考えると、もっとああすれば、ホッとできたのに~」と、おっしゃるそうです。その言葉を聞いて、そのときは、追われていたけれど、気づいたときにおおらかになれれば、いいんじゃないかと、生きているうちに見方が変わっていく体験ができればいいのかな、と思ったようでした。

 もう少し、「カリカリしていたこと」を、掘り下げていくことにしました。
自分としては、「カリカリした日々を過ごしたくないと思っている」から、そのカリカリした母親の印象が、残っているとも言えます。子供の頃の気持ちを思い出してみることにしました。

 クライアントさんは、自分が怒られているわけじゃないのに、そのトゲトゲしさに怒っていて、でも、泣かないように、耐えていたようでした。大人になっても、その時の感情はずっと残っていたそうです。ちなみに、クライアントさんは、コーチングとセラピーを通して、今は癒されています。

 その、「耐えていた」から、私は、姪っ子とのやり取りを思い出したので話してみました。

 以前、私が姪っ子に「お手紙」を書いて渡したら、とっても喜んでいました。
そして、父親である弟が帰ってきたとき、「パパー~。ひとみちゃんからお手紙貰ったの~!」とかわいらしい声を出して、帰って来たばかりの父親のところへ姪っ子は、走って行きました。
 
 しかし、その数分後、リビングの暗い隅っこのほうで、目にいっぱい涙を溜めて、こらえていたのです。きっと、弟も疲れて帰ってきたのでしょうか…。「よかったね~」というような、期待する反応を得られなかったのかもしれません。

 私は、姪っ子になんて声を掛けていいか? すぐには思い浮かびませんでしたが、5分くらいしたら、「ひとみちゃん、遊ぼう!」と、すっかり元気を取り戻していました。
 後から考えてみると、「どうして欲しかった?」と聞いてみてもよかったのかな~とか、思いました。

 大人の反応を見て、怒りや、悲しみを持つことはあるかもしれません。まだ小さければ、どんな理由か想像は難しく、自分が悪いのかな? と思ってしまうかもしれません。

 また、1歳半の姪っ子とのやり取りについて、私の母が、こんなことを言っていました。
「今、ママは、お買い物に行っているからいないのよ、と言ったとき、なんだかわかったようだったわ」と。理由が分かれば、そうか、と納得できることもあるのでしょうか。

 では、自分が親になったとき、どんな対応ができればいいかを考えてみました。

 「後からでも、大人の事情を話す。たとえ、今わからないとしても。わからないだろうと思って言わない大人よりも、正直に話してみる。コミュニケーションには、相手の立場もあり、自分の気持ちもあるということが、段々と分かっていくだろうから」

 そう、考えがまとまっていくと、クライアントさんのなかで、色々とお世話になってきた人から言われた言葉で、今になってわかることも沢山あったと、色々な思いが込み上げてきたようでした。そして、自分がどう在りたいか? が明確になったことで、気持ちもとても楽になったようでした。

 
 セッションの最後のほうに、クライアントさんが、笑っておっしゃいました。
「全然関係ない話なんですけど、結婚する直前に、彼が占い師に『9年は、結婚しない』と言われていたのが、いまだに気になっているんですよ。それなのに結婚したので」と。

 ちょうど今、その9年目なのだそうです。それを聞いた私が、「じゃあ、結婚10年目のタイミングで、記念にもう一度ドレスを着て、パーティーや、海外へ写真を撮りに行ったりもありじゃないですか? きっと、若い時よりも、今の方が、大人の色気が出ると思いますよ~。人生、楽しまなくちゃ」と言うと、「いいですね~」と言って、クライアントさんも笑っていました。

 その、突拍子もないやりとりから、クライアントさんは、セッションが始まる前の気持ちと、セッションが終わったあとの気持ちに、何かしら変化があったのではないかと感じました。


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

どんな生き方をしたいですか?