過去の自分をゆるすこと。

 「過去の自分をゆるすこと」というタイトルをつけました。3年前の私だったら、「私は、過去の失敗に向き合い、相手に謝り、反省して行動を変え、学びにしてきたから、私にとって、ゆるすなんて関係ないと思う」と言っていたことでしょう。

 さて、クライアントさんは、コーチングを受けることは初めてのようです。セミナーに特典セッションがついていたから、せっかくだし対面セッションにしようと思って依頼したという動機です。これといって、悩んでいることはないとのことでした。
 普段はお客様の話を聴くことの方が多く、こうして自分の話をすること自体も珍しいことだとおっしゃっていました。確かに、特別な聴き方をしてもらう機会は、多くの人にとって珍しい体験かもしれません。
 
 特にテーマは決めず、仕事の話からなんとなく始まりました。
最近、新しい仕事が追加されて、仕事が面白くなってきたけれど、追加された方の仕事が、今の時期は少なくなってきたので、もっとできるのに、なんだかこれでいいのかな? と思ったり、一体自分は何をしたいんだろう? とふと考えたりすることがあるとおっしゃっていました。

 「人によっては、仕事が少ない方がラッキー!と思えるかもしれないのに」と私が訊いてみると、「そうですよね。働かざる者食うべからず…みたいに、私思っているのかな???」とおっしゃいました。

 次に、「真面目と言われます?」と訊いてみると、最近、上司に「とても真面目で、破滅的なところがないよね」と言われたことが、気になったそうです。気になったということが、私は気になったので、どんな気になり方なのか、言われたときの気持ちを訊いてみました。
 すると、「そんなに真面目じゃないのにと、自分では思っているんですけどね。でも、よく言われるんです。自分が思う自分と周りが思う自分が違う感じがします。そう言われてがっかりしました。つまらない人、と言われた気がして」とおっしゃいました。

 人から言われて気になる言葉は、自分の無意識のところで、何かがひっかかっているから、フックになるのでしょう。そこで次に、「真面目にならなくちゃって、過去にどこかで改心したことってなかったですか?」と質問しました。

 そこから、過去の話になっていきました。学生時代の話です。「あの頃、ちゃんとしていれば、先生とか仲間と、つながっていられたのに…」と、後悔しているとのことでした。

 いろいろと話を聴いていると、「ちゃんと」という言葉が、合計10回以上出てきたでしょうか。「『ちゃんと』と言う言葉が、10回以上出てきましたよ」と返すと、「え??? 人の口癖は気づくのに、自分の口癖…、全然気づきませんでした」と、びっくりされていました。

 そして私は、「きっと自分のこと、まだ責めていますね。悪いことをして、ダメだって今でも思っていて、自分をゆるしてないようですけど」と訊いてみると、とても驚いた表情で、「ぐさーっときました…。涙が出てきそうです…」とおっしゃいました。

 それから、社会人になったばかりのころ、失敗したある出来事がフラッシュバックしてきたようです。もう、15年くらい前の話です。自分の中に閉じ込めていて、一度もアウトプットしたことがなかったようです。その出来事は、自分の中では反省して行動を改めたから、既に終わったと思っていたとのことでした。口に出るに任せて、思い出したことをお話しされました。

 過去の失敗は反省し、あの頃のことは、もう終わったくらいに思っていたようでしたが、「ゆるす」という視点は、今回初めて知ったとおっしゃっていました。これは、自分では絶対に気付けなかったと。「まさか、あの頃の話が、引きだされるとは…」と、とても驚かれたようでした。

 そして、「自分のことを責める自分をゆるします」と紙に書いて燃やす、ゆるしの儀式をやってみるように提案しました。ますます軽くなりそうな予感がしたようで、「楽しくなってきました」とおっしゃっていました。
 心の奥にしまいこんでいた話をして、気づけたことで、体がとても軽くなった体験をされたようです。

 こうして、セッションを振り返ってみると、自分を責めているような言葉が、最初の方からチラチラと出現していたように思います。

 「もっと働かなくちゃ」→「破滅的じゃないと言われた言葉がひっかかった」→「そんなに真面目じゃないのに。そう言われて、がっかりした気持ち」→「ちゃんとしなくちゃ」→「ちゃんとしていなかった過去を後悔」→「過去の自分を手放すこと」→「自分を責めている自分を許すこと」へとつながっていきました。

 自分を救うのは自分ですね。

 相手が使っている言葉がサインとなって、目には見えない無意識からのメッセージに辿りついた軌跡が、手に取るようにわかるセッションとなりました。

 冒頭の私ですが、去年、30年くらい自分を許していなかったこと、10年くらい自分を許していなかったことに気づきました。それぞれ「自分を責めている自分を許します」と、ゆるしの儀式をして、過去を手放せたら、本当に心が穏やかになったのです。併せて、慢性的な肩コリもなくなりました。


★オススメの本です。

『ゆるすということ』―もう、過去にはとらわれない
By ジェラルド・G. ジャンポルスキー




 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

自分のことはゆるしていますか?


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