過去の出来事をどう受け容れていくか?

 3回目のセッションの方でした。オリエンで「現実に向き合っていない」ということにハッとされ、その後、仕事場での部下の見え方が変化し、架空を考えすぎて身動きとれなかったところから、現実に向き合いながら動けるようになっていきました。そして、セッションを始めてから3ヶ月経ったところで、根本に「焦り」があるというところがひょっこりと見えてきたようです。

 最近、新しい部署へ異動し、はやく成果を出さなくてはという思いから、1日で全てをやろうとしている自分に気づき、それが焦りにつながっていることを認識したそうです。
 そこからじっくり時間をかけてやることを意識したら、結果的に「動いているな私」を感じることが出来たようでした。そうやって努力を重ねて結果は出るのだと認識したようです。コーチングを受けて、数字がすぐ上がるとか、努力なしに大きな変化をしたいと思っていた自分にも気づいたようでした。

 プライベートでは、断捨離しなくちゃ、捨てなくちゃ・・・と思い、冬物を何回も洗濯したり、ムリして捨てたりしようとしている自分にも気づいたとか。整理することは心の整理になるということが断捨離の意味であり、捨てなくてはいけないわけではないことにも気づいて、次の冬が来て、実際に着るときにその部分は整理すればいいと見えてきたようです。

 焦りは消えないけれど、そうやって「焦りがある」と把握しながらも、物事に取り組めるようになったことで、過去の自分が新しい自分に溶けていった感覚を得たようです。

 それで、見えてきたことが、今回のテーマとなりました。「残ったものから見えてきたもの。出来事はなにも思っていないけど、考え方の癖として根付いたものについて視点を変えるとか、考え方を考察してみたい」というテーマです。

 中学校時代の「ひきこもり」までさかのぼりました。私は初めてお聴きしたのですが、ここまでのセッションでそれを話せる気持ちまで至っていなかったようなのです。話そうと思うことには、本当に勇気がいったとのことでした。その出来事から、人からどう思われるか、言われるか?を必要以上に考えを巡らす癖がついたのかもしれないとおっしゃっていました。

 「焦り」の根源については、「みんなは勉強が進んでいく焦り」がとてもあったようです。結局、重要な行事しか行かず、学校生活は終わったようでした。
 そのような焦りがあったことで、社会に出るようになってからは、「甘く見られたくない」という思いが強すぎて、自分を知られたくないために、隠すために強めに言うようになったそうです。また、「人の話が聴けない」とおっしゃっていましたが、それは、悟られないように自分から話そうとするから、聴けないのだと、言うことでした。本当の自分は3なのに8にする。そのギャップが苦しいし、結局、周りに気づかれる、落ち込むことを繰り返していたようです。じゃあ、今から学歴を作る? というと、それは違うと考えていらっしゃるようです。

 最近、コーチを依頼しようと思わざるを得なかった「クレームのお客様」が、半年ぶりに来店されて、こんなやり取りがあったそうです。

「あなた、怒られたでしょ」

「言って頂いて気づいたこともあります。ありがとうございます」

「そう言ってくれると安心するわ。また来るわね!」

 そのとき、自分が被害者になっていたことに気づき、お客様も苦しまれていたことを初めて知り、相手の気持ちが存在すると言うことに、はたと気づいたようでした。被害者になると、周りが見えにくいのだと、以前の私のブログ記事のことが、クライアントさんも実体験として腑に落ちたようでした。

 ここまでクライアントさんがお話しされ、「で、色々と気づいて、これからは考え方、捉え方をどうすればいいか? なんですけど…」とおっしゃいました。


 私は話を聞いた感想を言いました。
「簡単ですよ。(笑)ニュートラルに物事を見られればいいんです。ここまでの話は、自分が悪い、改善しようという話が多めです。まだ少し罪悪感が残っているような…」

「あ、罪悪感…。少しあるかもしれません」

「自分が出来ていないと思うだけでなく、相手も未熟なところがある。お互いさまと考えてみるんです。極端な話、『相手の悪いところはどこだろう?』と考えてもいいんです。ニュートラルに両方考えてみることができるようになることですね。もしかしたら、学校の先生や親が気持ちをうまく聴きだしてくれたら、ひきこもりから自分を解放することが出来たかもしれません。だから、自分が悪かっただけではないかもしれない、と考えてみるのもありなのです」

「そう言えば、先生が怖かったです。来られるように、という働きかけばかりされました。あと妹も同じ中学だったので、嫌な思いをしていたのかもしれないってことが気にかかります。妹に直接謝った方がいいのでしょうかね…」

「まずは、何を妹に言いたいのか? 自分の気持ちさえアウトプットしていないのではないでしょうか。自分の気持ち、伝えたいことをアウトプットしてみてから、妹に言うかどうか決めればいいことです。相手にとっては関係ないことになるかもしれないし、言わなくても済むこともあるのです。自分の心の中にある言葉を自分が一番知りたがっているだけかもしれませんよ」

「そうですね。言葉にしてまずは書いてみます。それと、相手が悪いと考えたら、相手を責めることが止まらなくなりそうですけど…」

「そうですね。そうでもしないと相手側のことも考える機会にならないので、ニュートラルにただ考えてみるプロセスとして必要です。最後は相手も自分も許すことですね」

「ゆるすって、認めると言うのとは違うんですか?」

「そうですね。認めるっていうと、まだそこに残っている気になりませんか? ゆるすは、『ゆるしの儀式』をして、手放していくんです。『相手を責める自分を許します』『自分を責める自分を許します』と便箋にゆるしの言葉を書いて、燃やすんです。この際、いろいろと思いついたゆるしの言葉を書いてみるといいかもしれませんね」

「いろいろ出てきそうですね。それをやってみます。それにしても今回は、癖の元を紐解く事で前進したいと思っていたので、堀口さんに考え方を言われたりするのかと思っていましたが、『ゆるす』に行きましたね…」

 セッションでは、過去の出来事をどう受け容れていくか? の流れとなりました。
 ニュートラルに考察し、真実を見つけて、最後はゆるすことに辿りついたのです。

 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

自分の癖はなんですか?

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