深く考えることが苦手。どうしたら深く考えられるのか?

 2回目のセッションのクライアントさんでした。旦那さんの転勤で海外在住、子育て中の方です。子育てを通して、自分の関わり方を変えなくてはいけないなと思うところがあり、コーチングを依頼されました。オリエンと1回目のセッションを通して、「子育て中の自分を受け入れる」ことができ、お子さんに対してイライラしてしまうことは激減したそうでした。

 今回は、「深く考えることが苦手」というテーマでのセッションでした。例えば、英会話のときに、日本人よりも外国人のほうが質問をする傾向があるというのもあり、質問されると「え?!」となってしまうそうです。これは英語力というよりも、日頃から言葉にしているか? というまずは日本語というところです。

 1日を振り返ることもしないので、日記をつけるなどして振り返る習慣を持つことで解決するのかなぁと思ったようですが、まだ始められていないようです。どこから手をつけていいか? いきなりやるといってもわかりにくいかもしれません。私も以前は「何で?」と言われると、考えるのが面倒なので、怒るほどでした。(笑)

 アパレル店長をしていたころ、考えるのをやめることでの弊害がいろいろ起きてきました。お店をどうするか?のアイデアが全然浮かんでこないのです。アパレル経験がないからだという理由にしていました。

 お店の売上アップのアイデアを探そうと、色々なお店を見た方がいいとはわかっていても、どう見ればいいか? わかっていなかったということがありました。よくわからないで見ていると、「使える什器はないかな?」とか、「工夫されたディスプレーはないかな?」という質問を自分にしながら見ている状態です。

 しかし、あるとき社長に視点を変えることを教わり、「なぜ、そうしたのか?」と自分の動機をその場で振り返る習慣を持ったのです。

 できる店長というのは、「なんで、このお店は混んでいるのだろう?」という人の導線や心の動きを見ようとするのです。
 日常生活において応用するならば、「自分の動機は何だろう?」といちいち振り返ってみることです。

 「考える習慣」は、思考するための投げかけをする人が周りにいるか? で決まると言っても過言ではありあません。すぐに答えを教えてくれる人が周りに多いと、考えなくて済んでしまいそうです。子供にも自分の質問力が影響することになっていくでしょう。

 「子供に『何で?』と訊かれたら、『どうしてだと思う?』と聞いてみましょう」と、クライアントさんが育児の本で読んだことがあったようです。私は、自分の創造力も鍛えるチャンスだと思い、3択にして返すようにしています。

 ある日、高速道路を走っていたら、「なんでこの道は真っ直ぐなの?」と姪(4)に聞かれました。私は「1.お空につながっているから」と言ったら、姪もニヤっと笑っていましたが!(笑)
 また、子供と遊ぶとき、子供の世界に合わせるだけでなく、私は大人の知っていることも混ぜるようにしています。例えば、リクライニングチェアーで遊んでいるときに、姪としては「車」をイメージして、ゆさゆさと揺らしていましたが、私が「皆さま、当機はまもなくシャルル・ドゴール空港へ着陸いたします」と、急に飛行機にしてみせたりすると、今度は客室乗務員というのがいることも知るわけです。
 子育てが自分の成長にもダイレクトにつながっていると、私はいつも感じています。

 そのほか、「深く考える」にはそもそも「質問」がいるわけですので、インタビュー本などを読んで、質問を集めてみたり、ネットで「質問集」と検索すれば、色々な質問を知ることもできるでしょう。
 また、いつでも感想を言う習慣を持つことを意識することも、言語化を鍛えることができると思います。

 クライアントさんは、やることが見えてきて、「質問力、フィードバック力を鍛えるために人に会おうと思います!」とやる気になっていました。

 それから2つ目のテーマに進みました。
「ネガティブな言い方をしないようにしたい」です。例えば、子供に「早く寝ないと明日起きられないよ」と言ってしまいがちのようです。「早く寝れば、起きられるから、幼稚園に遅れないね」と言えばいいと頭でわかっているけれど、言えていない。「何で直らないんだろう?」といつも思うけれど、やはり瞬間的にそう言ってしまいがちなんだそうです。

 私が、「何が加わればできるようになりますかね?」と訊くと、「堀口さんの後押しがあれば!」とお答えになりました。
 そのとき、私は気づきました。そもそも「何で直らないんだろう?」という質問が可能性を閉ざしているということに。クライアントさんは、そういう質問をすることが癖になっているということです。

「『何で直らないんだろう?』っておっしゃいましたよね。私はここで、『どうしたら、~できる?』という可能性がある質問をしたのがわかりました? コーチングのときはいつもそうしているはずです」

「わ、本当だ! いつも私は『何で~出来ないんだろう?」という質問をしがちです。コーチングのとき、そういう質問はそう言えばされていない!」

 自分の癖がこの瞬間にわかってしまったクライアントさんは「今日、このことがわかって本当によかった!子供にも『どうすればできる?』『何があればできる?』と、可能性があること前提で質問ができるようになったら自分の心もやさしくなれそう!」と、きっと私が想像する以上に、本当によかったと思っていらっしゃるような口調でおっしゃいました。

 「どうして直らないんだろう」が癖になられていたクライアントさんですので、「どうしたらできる?」と口に出したとたん、その心地よさにありありと気づいたようでした。

 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

何が加わればできるようになりますか?