相手の話を深めるために、自分がどうかかわればいいのか?

 クライアントさんが、考えを深掘りしていくのが苦手という話をしていたら、自分の子供とのやり取りを思い出していました。

 子供が、「何をやったらいい?」と聞いてきたときに、「そんなこと自分で考えなさい」と、つい言ってしまったそうです。すると、子供は「わからないから聞いているんだよ」と。


 部下、上司でも同じようなことがありますね。

部下「何をやったらいいですか?」
上司「そんなこと自分で考えることだよ」
部下(わからないから聞いているのに・・・)

 部下は、相手が上司だから「わからないから聞いているのに」って言わないだけで、心では、思っているでしょう。

 これらは、別によくある光景だから、何が問題なんだろう?と思われがちでしょうが、他の言い方もある、と私が言うと、問題になってしまいました。(笑)


 おそらく、コーチングに興味がある人は、自分が話を広げるのが苦手と自覚しているし、相手のことをもっと理解してみたいと思っているので、自分の話の聞き方を問題視して、スキルアップに取り組んでいくことでしょう。問題に気づいているだけでも意識が高い表われですね。


さて、上記のようなとき、あなたはどう切り返しますか?
 

 母親も上司も、日頃の色々なこともあって、感情的になっているのかもしれないですね。しかしここは、相手が「何をやったらいいですか?」と前向きに発言しているのですから、相手のためにもお役に立とうではありませんか。


 「何をやったらいい?」というセリフだけでは、相手にとっての「何か?」が全く見ていませんから、まずは「何のこと?」と聞いてみればいいです。


 「何のこと?」が出てきたら、話のテーマが具体的に見えてきます。
そうしたら、そのテーマについての深掘りを一緒に手伝ってあげればいいのです。


 自分でも、具体的にするために深掘りしていきますよね。そのプロセスを相手にしてあげればいいのです。(どうやって深掘りしていくか?については、そのうちブログで言語化したいと思います)


子「何をやったらいい?」
母「何のことについて言っているの?」
子「やることないからお母さんの手伝い何かないかなと思っているの」
母「あら、そんなことを思って聞いてくれたのね」

(もしかしたら、お母さんを手伝ってあげようとして、「何やったらいい?」だったかもしれないですよ!それを突っぱねたら、こちらが残念です。笑)


子「何をやったらいい?」
母「何のことについて言っているの?」
子「自由研究を何したらいいかな?って考えていたの」
母「あら、そうなの。やろうと思って何か考えているものはあるの?」
子「うん、そうだなぁ・・・」

という風になっていけると思います。


 また、そのクライアントさんは、子供が疲れているような顔で「何やったらいい?」と聞いてきたと言っていました。そのときに、「疲れているような顔をしているけど…」と言ってあげることもできた。と、気づいていらっしゃいました。


 これは、さすがお母さん!と思いましたね。私は、そういう意識が足りていないかも、と考えさせられました。そんな優しさを持ちたいですね。


 精神的に疲れてしまい、会社を突然休業する人も少なくない時代です。もしかしたら周りの人が、日々の顔の変化とか言動の変化とか、仕事のパフォーマンス以外のところでも意識を働かせることができたら、阻止できた可能性もありますからね。言葉以外の見える事実へも意識の目を働かせたいものです。

 サラリーマン時代に「自分がしてほしいように相手を扱う」というのがゴールデンルールと教わったことがあります。私は、これをうまく解釈できなかったのか? たとえば、プレゼントを相手にあげるときも、このルールを採用していたので、自分がもらったら嬉しいものを相手にあげるようにしていました。「お菓子」くらいだったら、いいのですが、「物」となると、外すことも多かったのです。それによって、傷ついてしまったり、そして勝手に自分で落ち込んだり…。でも、そういう時は、相手に「びっくりしてほしい」とか、どこか自分のニーズを満たすために相手に渡しているときだったと思います。結局、いまは「お花」をプレゼントすることが多いです。


 「何って何のこと?」と相手の方に入っていくこと、相手の変化の事実を伝えること、相手にとって受け取りやすいプレゼントを選ぶことは、すべて共通なところへつながってくるように思います。


 生きていれば、自分の時間も自分が相手のために生産的になる時間も、両方あるのが自然です。なので、「いまは、相手のためを考える時間」と、スタンスを決めることでしょうか。冒頭の会話も、「相手が何をしたいか悩んでいるから、アイデア出しのために対話相手になろう」とスイッチを入れるのです。スイッチが入れば、私の時間が減る…、という損得勘定もなく、気持ちよく相手本位の質問ができそうですね。


今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

昨日は相手にどんな質問をしましたか?