質問:どうしたらしっかり相手の言葉を掴み、返せるようになりますか?

 「私は思っていることをすぐに言ってしまうところがあり、相手が本当に言いたいことをしっかり理解していない、とよく言われます。どうしたら堀口さんのようにしっかり相手の言葉を掴み、返せるようになりますか?」と、クライアントさんから質問メールが来ました。

 部下を扱う仕事になって、上司からその様に指摘を受けたそうです。ご自身でも自分の癖だと認識されているようでした。

 私が思ったのは、話を最後まで聞けない理由として、相手の言うことを、いいか、悪いかで判断しようとしてしまう。と言うのがあります。そして、自分と違うのならば、「ちがうよ」とすぐに言いたくなってしまうのです。

 たまたま、夜のクライアントさんも同じことでお悩みでした。友達と恋愛の話をしていて、友達が、「駆け引きをして相手の気をひく」と言ったときに、自分としては「そんなことしなくてもいいのに」と思ったようです。でも、ここで否定するのはいけないと思って、「そうなんだぁ」で話がストップし、それ以上続かなくなってしまったようでした。「自分と違う」から、「そうなんだぁ」のあとに、質問も出にくくなったのかもしれません。

ここで「そんなことしなくてもいいのに」と言ったら、友達は余計に話しづらくなってしまうことでしょう。友達は友達のこれまでの経験から「駆け引き」が必要と感じているわけです。では、こういうときはどのように返せるといいでしょうか。

「なるほどね。私は逆で、何もしない派なんだ」と言うのもひとつです。
「そんなことしなくてもいいのに」に比べると、いいも悪いもないニュートラルな返事です。相手を否定すれば、会話が「シーン」としてしまいますが、ニュートラルな返事なら、そこからまた会話が生まれるでしょう。
相手もその人の考え方の「何もしない派」について、考えてみたくなる場合もあります。

 なぜ、ニュートラルな返事をするのかと言うと、相手は話しながら、自分の話していることが本当の気持であるかどうか、自分で感じるものだからです。自分でもそんな経験はありませんか?

 相手が何でも聞いてくれると感じると、何でも話していきます。たくさん話せば、話しながら自分が違和感を持って発した言葉だったとか、自分で自分の言葉を吟味できます。それが、自分の気づきになります。


 先日、『ひとみずむ』を書くクライアントさんと構成のためのミーティングを行っていました。私とのファーストコンタクトときの印象を、今だから話せることを笑いながら振り返っていました。


 私は、クライアントさんの発言が、聞いていて違和感が実はあったのです。でも、「そうなんですね」とずっと聞いていました。違和感があったとしても、初めてだしまだ分からないから、まずは聞いてみようと思っていたのです。そして、相手が話しながら自分で何かに気付けるかなと思ったので。もし、こちらに違和感があったら、「本当に思っている?」と聞いてみればいいと思います。

 クライアントさんは、あの日「言わされている感」が途中で出てきて、自分で発言した言葉に、実は違和感を持っていたとのことでした。今になって私の違和感は、クライアントさんの違和感と繋がっていたのだと分かりました。聞く仕事を続けていると、話している言葉よりも、見えないノンバーバル(非言語)なものから感じられるようになります。言葉の裏にあるものを感じる力。私ももっと磨きたいと思っています。


 相手が自分で話しながら、自分で気づく。こちらがジャッジする必要はないので、とにかく最後まで話してもらうように、聞き手に徹すればいいのだと思います。相手の話を最後まで聞くことで自然と「共感」になりますし、経験は違うかもしれませんが、「感情」というところで、自分と共感できる部分もきっとあるはずです。「その気持ちわかるよ」と加えると、相手は寄り添ってもらっている感じがして、安心感が出ると思います。時には、悲しい気持ち、落ち込んだ気持ちを十分に感じ取ることも、未来に感情の未完了感を残さないためにも必要です。


ドリカムの歌で『ねぇ』というのがあります。
出だしが「わかるよその気持ち」で始まります。
すごく優しい歌で好きです。





 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

寄り添ってもらえていると感じたのは、どんなときでしたか?

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■堀口ひとみ×播磨弘晃『冬コミコレクション』
テーマ「言葉」
1月14日(土)11:00~18:00@銀座にて

※今回から定員10名になりました。只今残席5名です。

コミコレを企画している私たちは、教えないを極めたいと考えています。
「教える」の反対は、「自分で考える」ことかと思います。
そうなると、セミナーの形としては、公開ディスカッションのようなもの。
公開コーチングでもありません。

コミコレとは、ただ、考える場所。
考えて出た答えに正解も不正解もありません。
ただ、そうなんだ、というだけです。
だけど、考えない時より、考え抜いた方がすっきりします。
考えることができる自分であることが、自信になるのだと思います。