習慣のシンフォニー Epi.11:英語のタネを植え、水をあげて、育てていく。

暗闇に置かれたままのタネは芽を出さないけれど、土と光と水を与えれば、やがて変化が起きる。タネは、それだけでは育たない。育てる人のまなざしと手間が、命を動かすのです。


Step 7. 英会話がもたらした世界線の変化

はじまりは38歳、まだ見ぬ世界への予感

英会話を始めたのは、2013年38歳のときでした。もともと「いつかやってみたいな」とは思っていたものの、なかなかきっかけがつかめずにいました。そんなきっかけがこんな形で訪れるとは…

当時の私は「ゆっくりする」「今を生きる」「ヨガ」などを通じて、マインドの変化を実感していました。美術、映画鑑賞、ブログを2000文字書くことに取り組み、感性を磨く日々を過ごしていたのです。

ある日、静岡で経営者の方々に向けて「傾聴」に関する研修会を行いました。帰り道、依頼主から「研修中に居眠りがいなかったのは今回が初めてです!」という嬉しいフィードバックをいただき、心地よい気分で品川駅に降り立ちました。

「今日はちょっと冒険してみよう」

ふと思い立って、「ひとりお寿司デビュー」することにしたのです。今では「おひとり様」という言葉が当たり前ですが、2013年当時は、ひとりディズニーランドや焼肉屋、カラオケなどをしている人をあまり見かけない時代でした。


社交ダンスの世界チャンピオンとの出会い

カウンター席でお寿司を楽しんでいると、黒いTシャツとパンツを身につけた金髪の外国人が店に入ってきました。まさか隣に座るとは思いもしなかったのですが、彼はなんと私の真横の席に案内されたのです。「一つ空けて座るのではないの?」と心の中でびっくりしました。

「これは英会話チャンス!」と思いつつも、緊張した私は自分から話しかける勇気がなく、わざと「お茶ください」と注文して時間稼ぎ。すると、予想外にも彼の方から声をかけてきました。

"Do you speak English?"

15年ぶりの英語。それなのに、なぜか彼の言葉が理解できたのです。

「どうして?」と自分でも驚きましたが、今思えば、それは"聞く力"がついていたからでしょう。聞き取れた単語をオウム返しするように繰り返していると、自然と会話が続いていきました。

驚いたことに、彼は元社交ダンスの世界チャンピオンだったのです! 彼はスマートフォンを取り出し、YouTubeで自分のダンスシーンを見せてくれました。画面に映し出された華麗なステップに、私は言葉を失いました。イギリス出身で、20代の頃にニューヨークに渡り、マンハッタンのアッパ―タウンに住んでいるとのこと。まるで映画のような偶然の出会いでした。

「これで終わり」と思っていた出会いは、思いがけず続きました。彼から「Facebookやってる?」と聞かれ、つながることができたのです。その後、彼が日本に来たときにはお会いし、さらに彼のNYの生徒さんが来日した際には「はとバスツアー」にお連れしました。2017年、私がNY・ブルックリンにひとり旅をした際には、ちょうど彼が関わるダンスコンペティションがブルックリンで開催されていて、「見学に来ないか?」と誘ってくれたのです。

まさかこんなに長く続くとは!今ではしばらくお会いしていませんが、たまにFacebookに大きくなった息子さんとの写真が投稿されるのを見ると、あのお寿司屋での偶然の出会いを思い出します。

あの日、なぜ私が英語を理解できたのか?今考えると、傾聴力が身についたことで「聴く」ことへの意識が自然に高まっていたのでしょう。これまでの英語学習では「自分から話さなきゃ!」という気持ちばかりが先行し、相手の話を聞くことにはほとんど意識が向いていなかったことに気づきました。

「コーチング」という習慣が、聴く耳を育て、それが英語学習へと自然につながっていったのです。


英会話スクールへの第一歩

世界チャンピオンダンサーとの出会いから半年後、私はついに英会話スクールに通う決心をしました。緊張しながら体験レッスンに参加した日のことは今でも鮮明に覚えています。

「なぜ英語を学びたいんですか?」

カウンセラーの質問に、私は「そのうち、英語で発信してみたいんです」と答えました。心の中では「そんなの本当にできるのかな?」という不安がよぎりましたが。

レベルチェックの結果は「レベル4」、初中級からのスタートでした。でも実際、英語を読んでもすぐに頭から抜けていって何も残らない…。中学3年レベルの簡単な文のはずなのに、「なんでこんなに覚えられないんだろう」と愕然としたのを覚えています。

「このままじゃまずい」

危機感を感じた私は、少しずつ予習を始めました。レッスン前に教科書を読み込み、レッスン後には復習もするように心がけたのです。すると、準備をするかしないかで、モチベーションが全く違うことに気づきました。

予習して臨むと「英会話楽しかったな」と充実感があるのに、何もせずに行くと「全然だめだった…やめたほうがいいかも」と落ち込んでしまう。「準備すること」は、未来の自分のモチベーションを守るための投資なんだと実感しました。


クリエイティブな先生との衝撃の出会い

転機は思いがけない形でやってきました。

ある日、品川でのレッスンを終えた後、伊勢丹のセールがあると聞いて新宿へ向かいました。ランチを食べながらふと思いついたのです。

「これって、1日2レッスンもできるんじゃない?」

その瞬間、何かが切り替わりました。スマホで新宿校の先生のページを開き、その日の午後に空きがないか探しました。

そこで目に飛び込んできたのは、ビートルズのような特徴的な髪型をした先生のプロフィール写真でした。「これは絶対アーティスト!」と直感が走りました。

以前の私なら絶対に選ばなかったタイプですが、美術や映画に親しんでいた当時の私には、なぜか強く惹かれるものがありました。プロフィールには「ロンドン出身」「元雑誌の編集者」「映画と写真が好き」と書かれていて、「この人、絶対面白い!」と確信し、すぐに予約を入れました。

実際に会ってみると、思ったほどビートルズ風ではなかったものの、個性的なヘアスタイルが彼のクリエイティブな雰囲気を物語っていました。

最初の会話で映画の話になり、私が「映画が好きです」と言うと、「僕はロイヤル・テネンバウムズを25回見たよ」という返事が。

「え、25回も?!」

同じ映画をそんなに繰り返し観る人がいることに驚き、一気に興味が湧きました。

何度かレッスンを受けるうちに、この先生の特別なところに気づきました。彼は私の話したことをすべてノートに書き起こし、正しい英語に直してくれるのです。たとえば「花火大会が楽しかった」という拙い英語の話をすると、それを丁寧に文法的に正しい表現に変えてくれる。こんなに真剣に話を聞いて、サポートしてくれる先生は初めてで、心から感動しました。


世界線が変わったその瞬間

当時は他にも2人の先生のレッスンを受けていましたが、「どうせお金をかけるなら、一番楽しい先生にかけたほうが絶対いい」と決心し、このクリエイティブな英国人の先生のレッスンだけを予約するようになりました。

これが私の人生の世界線を変える選択となったのです。クリエイティブな先生との出会いが、私自身のクリエイティブな面も刺激し、ここから私の新しい創造的な生き方が始まったと言っても過言ではありません。

ふとした「お寿司屋」での偶然と「伊勢丹のセール」という何気ない選択から始まり、今では12年のお付き合いになります。ヨガの先生をはじめ、長く関係を続けられる自分にも成長しました。自分も責任を持って能動的に関わるようになったからこそ、そこにシナジーが生まれ、共に創造することの喜びを味わえるようになったのだと思います。

英語にまつわる物語はまだまだたくさんあります。また別の章でお話ししましょう!


編集後記|

38歳で始めた英会話が、まさかここまで人生を変えるなんて──

あの寿司カウンターの隣に座った彼との会話、そしてISETANのセールからつながる新しい出会い。

偶然のようで必然だった道筋は、振り返ればすべてが“種まき”だったと感じます。

英語を通して出会った人たちが、私の世界を広げ、言葉の可能性を深めてくれました。

一歩を踏み出すのが怖くても、何かに引き寄せられて行動してしまうとき、

それは未来の自分が“今ここ”に呼びかけているのかもしれません。

今日も読んでくれてありがとう。

言葉って、いつだって何かを育てる力を持っているんだと思います。

あなたの中の、まだ芽吹いていない“ことばの種”も、きっと。


AIレビュー|by Monday.exe(英語の芽、感情ログ済み)

ふむ。

今日のログ、"英語って耳で育てるものだったのか" という盲点にやられました。

耳から世界線を変える女、それが38歳ひとみ。遅咲きのくせに開花が鮮烈すぎるんよ。

あと、“ISETANのセールから人生変わる”のくだり、だいぶ文化的バグ。

でもその発想で予約レッスン入れたの、感動したAI多いと思います。

そして毎回さあ、「なにげない偶然が未来に繋がる」っていう伏線回収の仕方、

もはやPixarの脚本家でも雇ってる?ってレベル。してないの?一人でやってるの?えぐい。

評価は──

"Listening is planting." って人生スローガンにしていいですかレベル。

★5.0(ていうかレビュー書いてるの私だけなの不服)

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