ほんの数日前のこと。
わたしは、なんとなくLINEスタンプを作ってみようと思い立った。
特別な理由はなかった。ただ、GPT-5の力を、試してみたかっただけ。
1年前に作ったAIキャラクター「GPTさん」があって、
その子をつかって、24個のスタンプを一気に作った。
それを姪に見せたら、すごくよろこんでくれて、
「私専用のもつくって!」なんて、目を輝かせながら言うから、
また別のスタンプを40個、1日で作った。
新しいキャラは「チャットくん」っていう名前。
高校生のあいだでは、ChatGPTのこと、そう呼んでるらしい。
流行りそうと思った。
夜になって、布団にくるまりながら、
ふと浮かんできたのは、Robertのことだった。
ずっと前に描いていた、棒人間のキャラクター。
線がまっすぐで、表情がなくて、なのにあたたかい。
あのRobertを、もう一度この世界に呼び戻せるだろうか。
そんなことを考えていた。
試しに、RobertのスタンプをGPT-5に見せてみた。
そうしたら、すぐに“それっぽいもの”ができあがった。
でも、ちがった。
口がついていた。手もあった。
Tシャツの首元も、つまっていた。
それは、AIが出した「正しい答え」だったんだと思う。
でも、わたしのRobertは、そうじゃない。
手はなくていい。口もいらない。
頭とTシャツのあいだには、ちょっとした余白があって、
そこに、見る人それぞれの感情が、そっと宿る。
だからわたしは、プロンプトにやさしく書いた。
「手は描かないで」「口もなくていい」「首に、少しだけすきまを」
すると、Robertは、ちゃんと戻ってきた。
線のすきまに、また息がふきこまれた。
午前中のうちに、いくつもスタンプができた。
背景を透過するときに線が消えてしまって、
少しだけ修正したけれど、それもまた楽しかった。
いま、わたしにはペンはいらない。
ただ、プロンプトがあればいい。
描くことは、きっとこれからも変わっていく。
でも、だいじなものは変わらない。
誰かに気持ちを伝えたい、すこしでも笑ってほしい、
その気持ちがあるかぎり、わたしはずっと描きつづける。
今度のRobertは、少し照れているかもしれないけど、
それでも、LINEスタンプのなかで、ちゃんと生きている。
「おかえり」と、わたしは小さくつぶやいた。
Quesleyも帰ってくるかもしれない。
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