ALL EARS 対話編が、今回で最終回を迎えました。
2年間、傾聴から始まり、対話、質問、想像、フィードバックと、少しずつ実践の領域へ進んできました。
ちなみに最後のレッスンではついに、私がパワポを作らなくなりました。AIにしゃべっただけで、スクリプトもパワポも、レッスン後のまとめのポッドキャストも完成させることができます。
AIとの対話の本の朗読から始まり、AIの進化と共に育ってきたALL EARS コミュニティは、最新技術を活用した、新しい体験の場も提供してきました。
最初は「聴く」ことから始まりました。
でも、対話が深まっていくほど、ただ聴くだけでは足りなくなっていきます。
どこで質問するのか。
何を想像するのか。
どこを構造として見るのか。
見えたものを、どうフィードバックするのか。
これらは単体の技術として学ぶこともできます。
けれど、実際の対話の中では、
「質問はここで使う」
「フィードバックはここで返す」
と、きれいに場面が分かれているわけではありません。
そこで最終回では、これまで学んできたものを統合するテーマとして、
「フック」を扱いました。
フックとは何か
フックとは、相手の話の中にある、
そこを拾うと対話が深まる入口
のことです。
たとえば、相手が話している中に、
- 強い感情が出ているところ
- 何度も繰り返される言葉
- 矛盾しているところ
- その人が当然だと思っている前提
- 「私はこういう人です」という自己定義
- まだ言葉になっていない違和感
- 小さな変化の兆し
こうしたものが出てくることがあります。
そこが、対話の入口になります。
全体をなんとなく聞いているだけだと、
「大変だったね」
「つらかったね」
「頑張ったね」
で終わることがあります。
もちろん、それも大切な共感です。
でも、そこからもう一歩深く対話するには、
相手の話の中のどこにフックがあるのかを見る必要があります。
どこを拾うかで、対話は変わる
今回のレッスンでは、こんな例題を扱いました。
職場で、自分なりにかなり頑張っているつもりです。
でも、上司からあまり評価されていない気がします。
ほかの人のほうが目立つし、うまくアピールしているように見えます。私はそういうのが苦手なので、ちゃんと見てくれたらいいのにと思ってしまいます。
でも、そんなことを思う自分も嫌です。
この話の中には、いくつものフックがあります。
「評価されていない」を拾えば、評価や承認の話になります。
「アピールが苦手」を拾えば、見せることへの抵抗の話になります。
「ちゃんと見てくれたら」を拾えば、見てもらえるはずだという前提が見えてきます。
「そんな自分も嫌です」を拾えば、欲求を持つことへの否定が見えてくるかもしれません。
つまり、同じ話でも、どこを拾うかで対話の方向は変わります。
ここが、とても大事なところです。
対話は、ただ相手の話に反応することではありません。
相手の話の中から、どこに光を当てるかを選ぶことでもあります。
質問も、フィードバックも、フックから生まれる
これまでのレッスンでは、質問やフィードバックについて何度も扱ってきました。
でも、受講生の方からすると、
「質問が大事なのはわかるけれど、どこで使えばいいのか」
「フィードバックが大事なのはわかるけれど、何を返せばいいのか」
という難しさがあったと思います。
今回、「フック」という視点を入れることで、そこが少しつながりました。
流れとしては、こうです。
フックを拾う
↓
質問が生まれる
↓
構造が見える
↓
フィードバックが届く
たとえば、相手が「ちゃんと見てくれたらいいのに」と言ったとします。
そこをフックとして拾うと、
「“ちゃんと見てくれる”とは、具体的にはどんなふうに見てもらうことですか?」
という質問が生まれます。
すると、その人の中にある前提や願いが見えてきます。
そして、そこから、
「評価されていないというより、“見てほしい”と“自分から見せるのは嫌”という2つの気持ちの間で揺れているようにも聞こえました」
というフィードバックが生まれるかもしれません。
質問も、フィードバックも、単独で存在しているのではありません。
どこを拾うか。
そこから何を見るか。
そして、どう返すか。
この流れの中で使われるものなのです。
実践してみて見えたこと
レッスンの中で受講生の方に例題を見てもらうと、それぞれ拾う場所が違いました。
ある方は、
「評価されていない気がする」
「しているように見える」
という、事実ではなく想像で話している部分に注目しました。
ある方は、
「そんなことを思う自分も嫌です」
という自己否定の部分に引っかかりました。
また別の方は、
「アピールが苦手」
というところを拾い、実際にアピールしたことがあるのかを聞いてみたい、と話していました。
これが面白いところです。
同じ文章を読んでいても、人によって見えるフックが違う。
だからこそ、対話にはその人の見立てが出ます。
そして同時に、フックを見つけるためには、こちら側のニュートラルさも必要になります。
受講生の方がレッスン後に、
「アピールすることを自分も少し悪いものとして見ていたかもしれない」
と気づかれていました。
これはとても大事な気づきです。
聴く側がすでに何かを良い・悪いで見ていると、相手の話のフックをニュートラルに拾えなくなることがあります。
フックを見つける力は、単なる技術ではなく、
自分の前提にも気づく力
でもあるのです。
やっぱり対話って厄介ですね。
相手を見ているつもりが、自分の見方まで浮かび上がってくる。人間関係、だいたい鏡だらけの部屋です。
「わかる」と「使える」の間
今回の最終回では、受講生の方からこんな感想もありました。
「解説を聞くと、なるほどと思う」
「でも、自分で例題を見ると、どこを拾えばいいのかまだ迷う」
「フックはなんとなくわかるけれど、そこからどう質問して、どう返すかはまだ難しい」
これはとても自然なことです。
フックを見つける力は、一度説明を聞けばすぐに使える、というものではありません。
絵の見方を知らないと、絵の中に何が描かれているかは見えても、構図や光や視線の流れまではなかなか見えてきません。
でも、詳しい人の解説を聞きながら見ると、急に景色が立ち上がってくることがあります。
対話もそれに近いと思います。
最初は、全体の雰囲気しか見えない。
でも、見方を知ると、感情、前提、矛盾、自己定義、変化の兆しが少しずつ見えてくる。
そして、それを何度も実践することで、だんだん自分でも拾えるようになっていきます。
最終回で見えた、次のテーマ
今回でALL EARS 対話編は一区切りです。
でも、同時に、次のテーマもはっきり見えてきました。
フックを見つけることができたら、次に必要になるのは、
そこにどんな言葉を返すのか
です。
見えたものをそのまま言えばいいわけではありません。
鋭く見えても、相手が受け取れなければ届きません。
やさしくても、輪郭がぼやけすぎると変化は起きません。
相手を壊さず、でも見え方が少し変わるように返すこと。
それが、次に扱いたい
構造フィードバック
あるいは
シルキーフィードバック
のテーマです。
2年間の傾聴と対話で育ててきたのは、
相手の話をただ聞く力ではありませんでした。
相手の中にある、変化の入口を見つける力でした。
そして次は、その入口に、どんな言葉を返すのか。
ここからまた、新しい学びが始まります。
次の講座について
ALL EARS 対話編の次のテーマとして、
シルキーフィードバック/構造フィードバック編
を準備しています。
対話の中でフックを見つけることができたら、
次に必要になるのは、
そこにどんな言葉を返すか
です。
相手を壊さず、でも見え方が変わるように返す。
正しさをぶつけるのではなく、相手が受け取れる形で構造を返す。
相手を鏡にして、自分の前提に気づく。
この講座では、
フックを拾い、構造を見て、
相手に届くフィードバックをつくる練習をしていきます。
詳細はこれからご案内しますが、
対話やフィードバックを深めたい方に向けて、
継続して学べる形で準備中です。
シルキーフィードバック編のアイコンは、Simon Silkier(サイモン・シルキア)です。もちろん、ユニフォームも準備中!(笑)
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