「整う」時間を整える。隙間時間では整わない。

 自分が死ぬ場面で、どう感じるでしょうか?何かをしておけばよかったという、やり残したことを後悔するでしょうか?

 あるクライアントさんは、「やっと自由になれる」「やっと休める」「やっと解放される」という考えが出てきて、自分でも驚いたそうです。しかしこれは他人事でもなく、そう思う人も少なくないかもしれません。この考えは一体何なのでしょうか?セッションで考えてみることになりました。


 身体が疲れているのか?心が疲れているのか?休み時間が足りないのか?休みたいと思ったときに、つい頑張りすぎるのでしょうか?

 とても観たいドラマがあって、ドラマを見ながら、拭き掃除をしていると、何だか満足できないそうです。それもそうです。ながら作業は、脳を疲れさせます。そうか、脳が疲れているのか、と、クライアントさんは気づきました。

 そんなクライアントさんは最近、「香りの講座」が気になり、来月からの講座を受講するらしいです。もしかしたら、脳が疲れているから、香りが気になったのかもしれません。嗅覚からの香りは私たちの感情に直接訴えかける力があるのですから。


 脳の疲れには、マインドフルネス、ヨガ、瞑想などが有効です。クライアントさんは瞑想には取り組んでいますが、ヨガはまだ未体験のようでした。

「コーチはどれくらいの時間、ヨガをされていますか?」

「私は、木曜日はスタジオで45分、土曜日はオンラインで60分やっていますね。そう考えてみると、毎週105分はヨガに費やしていることになりますね。隙間時間でもいいから、ヨガをしなくちゃ、という取り組み方とは違い、しっかりと時間をとっている。だから、整うことができるのでしょうね。つまり、隙間時間に整い系をしても、整わない、というわけですね。(笑)」

「整う」とは、ただ単に時間を割くだけの行為ではありません。それは心と体、そして精神が一つになり、完全な調和と平和を感じる瞬間です。これは隙間時間に行う半端な取り組みでは得られません。真剣な取り組みと時間の投資で初めて実感できるものです。しっかり時間を確保して取り組んだほうが効果を感じやすいでしょう。隙間時間に実行するよりも、スケジュールを整えてから整うことが大事です。


「整う」は人生の贅沢ではなく、自己基盤に必要です。整うが習慣化すると、「ちょっとゆっくりしよう」とか、「休みたい」という言葉を発すること自体が減るでしょう。それが本当の意味での心身ともに健康につながるのだと、実感しています。